地惑褐色の海から解き明かす太古の海底環境
私たちの生活に欠かせない鉄の原料である鉄鉱石の大部分は、世界中に広がる縞状鉄鉱層 (BIF) と呼ばれる地層から採掘されています。この縞状鉄鉱層は、主に約 27 億年前から約 18 億年前の太古代や原生代に海底で堆積したものだと考えられていますが、その詳しい成因はわかっていません。一方で、鹿児島県 薩摩硫黄島にある長浜湾の海底では、鉄を多く含む熱水が湧き出しており、太古の海底と同じように今まさに鉄鉱層が形成しています。そこで、倉冨 隆さん (研究当時 理学府 地球惑星科学専攻 地球進化史研究室) を含む、理学研究院 地球惑星科学部門の清川 昌一 准教授らの研究グループは、現在の長浜湾の海底環境をアナロジーとして太古の鉄鉱層形成メカニズムを推定し、その形成には生物活動が重要な役割を果たしていた可能性があることを明らかにしました。
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