数学最小限の測定データから有用な遺伝子を見出す
遺伝子は、しばしば「生命の設計図」とも呼ばれるように、そこに書かれた情報をもとにタンパク質が合成され、生物の様々な性質や機能が現れています。そのため、どの遺伝子が作用して、どのような性質 (形質) が現れているのかを同定することができれば、体質や病気のかかりやすさなどを調べることができます。しかし、この同定には、いくつかの難しいポイントがあります。まず、調べるべき遺伝子の数が現実的な測定データの数を大きく上回ってしまうこと、そして、遺伝子は他の複数の遺伝子と相互作用して、複雑に関係しあっていることです。そこで、沖永悠⼀さん (研究当時、数理学府数理学専攻 廣瀬研究室 修⼠課程) と九州⼤学マス・フォア・インダストリ研究所の廣瀬慧准教授は、⿓⾕⼤学農学部の永野惇准教授、 兵庫県⽴⼈と⾃然の博物館の京極⼤助研究員、トヨタ自動車株式会社の近藤聡⽒との共同研究で、相互作用する遺伝子の繋がりを考慮した擬似的な測定データをランダムに生成し、どれほどの測定データがあれば十分な精度で遺伝子の同定が可能かを計算しました。
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