化学紫外線を当てるだけのカンタン脱硫術
石油は、種々の乗り物の燃料などに使われており、脱炭素化が叫ばれる今日においても、依然として人々の暮らしに欠かせないものとなっています。石油の主成分は炭素原子と水素原子からなる炭化水素ですが、不純物として硫黄原子をもつ化合物なども含まれています。この硫黄分は、燃焼時に硫黄酸化物として排出され、環境や人体に影響を及ぼすだけでなく、ガソリンや軽油を燃料とする自動車の性能を悪化させる要因にもなります。これまで水素化脱硫と呼ばれる大規模な設備を要する方法で、石油中の硫黄分の除去が行われてきました。しかし、大型の設備が必要であるがゆえに、国や地域によっては今なお脱硫が不十分な石油が流通しています。そこで、触媒有機化学研究室 (徳永 信 教授、村山 美乃 准教授、山本 英治 助教) に所属する化学専攻の篠﨑 貴旭さんらは、より簡便な脱硫法を模索し、紫外線を照射するだけで硫黄分が除去できる手法を見出しました。
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