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九大理学部ニュース

地惑結晶の形に残された冷却の痕跡

佐野 恭平

マグマが冷えて固まり火山岩になるまでに何が起こったかは、火山岩に含まれる結晶の大きさや数、形態によって推測することができます。黒曜石を生み出す溶岩噴火については、これまで火山岩のどこを見ればそのような過去の出来事がわかるのか調べられてきませんでした。地球惑星科学専攻の佐野さんと寅丸教授は、北海道遠軽町白滝地域の十勝石沢溶岩を解析し、火山岩に含まれる微小な斜長石結晶の表面に発達する突起状の組織(プロジェクション)の長さや幅が、溶岩の内側と外側の冷却過程の違いを反映していることを明らかにしました。

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地惑大質量星からのアウトフローの観測

松下 祐子

宇宙を知るためには、様々な星の誕生のメカニズムを解明することが重要です。しかし太陽の10倍程度以上の質量をもつ大質量星の誕生については、不明な点が多く残っていました。惑星系形成進化学研究分野の松下さんらの共同研究チームは、アルマ望遠鏡を用いて“オリオンKL電波源Iアイ”を観測し、大質量原始星から噴き出しているアウトフロー(ガスの流れ)の回転をとらえ、それが周辺に存在する円盤の回転と一致することを確認しました。このことは、円盤の遠心力と磁場の力によって、アウトフローが物質を宇宙空間に噴き出しているという理論予想を支持する観測結果であり、大質量星の形成メカニズムを解明する上で重要な成果です。

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生物花粉を摂取して花粉症を治す

原 朱音

あらかじめ花粉を摂取することで花粉症発症を予防しようという「アレルゲン免疫療法」が実用化されつつあります。しかし患者さんによっては、長期間治療を続けても効果が出なかったり、治療そのものによってアレルギーを発症してしまったりします。この療法がどのような体質・状態の患者さんに有効なのかを明らかにするため、数理生物学研究室の原さんらは、体内に入ったアレルギー原因物質と免疫機構が引き起こす生命現象を数式によって表現した数理モデルをつくりました。モデルを用いたシミュレーションによって、治療成功に必要な条件(Treg細胞が蓄積しやすい体質であること等)や、治療そのものによるアレルギー発症を防ぐ方法(花粉投与量を徐々に増やしていくこと)を明らかにしました。

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地惑新鉱物・阿武石の発見

延寿 里美

山口県阿武町日の丸奈古鉱山では、世界的にも珍しい、リンを成分に含む様々な鉱物がみられます。その中に長らく正体がはっきりせず「ガトウンバ石様鉱物」と呼ばれていたものがありました。地球惑星物質科学分野所属の延寿さんと上原助教は、この石がフッ素を含む新種のアルミニウムリン酸塩鉱物であることを突きとめ、これを「阿武石」と命名しました。

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生物炎症を防ぐ酵素タンパク質のしくみ

槇 光輝

免疫の過剰な応答は、アレルギーや炎症反応を引き起こします。私たちの体には免疫応答を厳密に制御する機構が備わっています。生体高分子学研究室の槇光輝さんらの研究グループは、ショウジョウバエをモデル生物として、架橋酵素であるトランスグルタミナーゼ(TG)が免疫応答に重要なNF-κB(転写因子)であるレリッシュを架橋し、過剰な免疫応答を抑制する分子機構を明らかにしました。昆虫と哺乳類のNF-κB経路はよく似ているため、今回のショウジョウバエでの発見がヒトの炎症疾患の原因解明や治療につながることが期待されます。

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生物遺伝子に刻まれた自然史

池崎 由佳

将来の環境変化によって生物に何が起こるかを予測するには、過去の環境変動時に何が起こったかを知ることが重要です。進化遺伝学研究室の池崎由佳さんらの国際研究グループは北米大陸に生息するヌマスギの核DNA翻訳領域の遺伝情報を読み取り、氷河期を包括する長い期間でのヌマスギ分布域の変遷を明らかにし、さらに環境変動後の局所適応にかかわった遺伝子の候補を特定しました。

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化学金属錯体でエネルギー問題解決に挑戦

坪ノ内 優太, 林 樹

人工光合成、中でも水の完全分解を実現するためには、高性能な酸素発生触媒と水素発生触媒を開発する必要があります。「高い酸素発生触媒能を有する直鎖状ルテニウム三核錯体」及び「水素発生に必要な電子を複数貯蔵可能な白金錯体」の開発に成功しました。

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化学アザインドール5員環の不斉水素化に成功

槇田 祐輔

鏡像異性体の片側を選択的につくる不斉合成反応には鏡像異性体を識別できる特別な触媒が必要です。インドール類の不斉水素化のために開発したPhTRAP-ルテニウム触媒がアザインドール類の還元反応にも利用できることを発見しました。発見した反応を応用することで、効率的な医薬品の合成が可能になると期待されます。

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数学世界初!60次元の格子暗号を解読

高木 剛

格子暗号は次世代国際標準暗号の有力候補です。その安全性評価のため2016年6月にスタートした暗号解読コンテストで、世界で初めて60次元の格子暗号問題を解読しました。総当たり方式ならば解読までに一万年以上かかる問題を、効率的な手法により約16日で解くことに成功しました。

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地惑火星の気象をシミュレーション

中島 健介

地球以外の惑星にも大気が存在し、様々な気象現象が起きていますが、直接の観測が難しいため詳細は未解明です。スーパーコンピューター「京」を使ったシミュレーションで、火星に生じる竜巻の性質を調べています。

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