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九州大学

 

入学
未来の科学者養成講座2014の開講式(8月23日)
開校式 意見交換会
 今年は例年になく雨が多く、当日の空模様が心配でしたが、まずまずの天気の8月23日次世代科学者育成講座の開講式を行いました。まず始めに中田正夫理学部長から開講の挨拶がありました。この挨拶では、自身の地球内部物理学の研究を例にあげて、研究を進めるには基礎的学力が絶対に必要であることが強調されました。なにか新しい課題に取り組もうとするときにはどうしてもその基礎になる応用数学・古典物理学・地質学等の基礎知識が必要で、もう少しそれらを勉強しておけばよかったと痛感することがたびたびであるという話が紹介されました。また経験豊富な名誉教授とともに大学院生もTAとして指導や討論に参加するので、将来の科学者、研究者をめざしてほしいとの激励の言葉が贈られました。

プログラム
セミナーに先立ち、ガイダンスが行われました(8月23日)
森先生の講演風景 矢原先生の講演後の質問風景
 物理学セミナー  化学セミナー
矢原先生の講演後の質問風景 森先生の講演風景
 数学セミナー  生物学セミナー
矢原先生の講演後の質問風景  
 地球惑星科学セミナー  
 開講式の日はそれぞれの科目のガイダンスも行われました。担当の先生やアシスタントを務める大学院生の紹介の後、セミナーの進め方についての説明や、スケジュールの調整などがありました。今年度は地球惑星科学の分野が増設され気分も新たに始動しました。

   
いよいよセミナーが始まりました(9月〜10月)
物理学セミナー
森先生の講演風景 森先生の講演風景
 今年度は1年生の学生さんが2名参加しております。大変とは思いますが、頑張りましょう。

数学セミナー
森先生の講演風景 森先生の講演風景
 数学のセミナーは、今年も鎌田正良先生に講師をお願いしています。生徒は5名、ティーチングアシスタント(TA)も5名で、きめ細やかな指導がなされます。講義と自分で考える時間があり、レポートも課されます。毎回時間の経過を忘れるほど、数学に没頭しています。

生物学セミナー
森先生の講演風景 森先生の講演風景
 アサガオを材料に用いて、遺伝のしくみを学びました。

化学セミナー
森先生の講演風景 森先生の講演風景
 高校では習わない難しい内容ですが,みんな真剣なまなざしで講義を聞いています。どんどん質問しましょう。

地球惑星科学セミナー
森先生の講演風景 森先生の講演風景
 これからセミナーが始まります。地惑の受講生の皆さん、緊張しているのか、少し声が小さかったですね。これから半年、元気を出して頑張りましょう。
大学の授業にも慣れました(10月〜11月)

数学セミナー
 ティーチング・アシスタントの補足説明を聞き、講師の鎌田先生、受講生、他のティーチング・アシスタントを交えて、議論します。

生物学セミナー
 植物の二酸化炭素の取り込みと蒸散調節の仕組みを学びました。特殊なカメラと測定装置を使って、見た目では区別できない、イネの系統間の違いを検出して、その原因を推定しました。

仁田坂講師:理学部圃場にて、変化朝顔の観察   池ノ内准教授:上皮細胞についてのセミナー

地球惑星科学セミナー
 レーリー・ベナール対流を実験で再現し、日本周辺の雲のでき方との関連についても学びました。
公開講演会 講演会新着情報
第1回公開講演会(8月23日)
◎「イマジナリーキューブ・パズル」 立木 秀樹 教授【京都大学大学院 人間・環境学研究科】
>講演の資料はこちら
矢原先生の講演後の質問風景
 
 立木先生の講演風景  
 第1回目の公開講演会には、京都大学人間・環境学研究科の立木秀樹先生をお招きしました。「イマージナリーキューブ・パズル」というテーマで、われわれの身近にある立体が組み合わせ方や見る方向によって別な形に見えたりするというところから講演が始まりました。じっさいに正四面体などの立体模型を使いながらの説明は初めて聞く者にも易しく、自然と聞く者を魅了し、次第に数学の世界へと引き込まれてしまうたいへん面白い内容でした。

第2回公開講演会(10月4日)
◎「腸内細菌との共生 ー生存のせめぎ合いで生まれる絶妙のバランスー」 
川畑 俊一郎 教授【九州大学 大学院理学研究院 生物科学部門】
 
 川畑先生の講演風景  
 今回の講師は九大理学研究院生物科学部門の川畑俊一郎先生です。ユーモアたっぷりのお話に一同、すっかり魅了されました。話の内容は次のようなものでした。講演中には,ときどき先生御自身の経験談も披露していただきました。

 ヒトの身体は約70兆の細胞から構成されています。一方で大腸には、ヒトひとりの細胞数を大きく上回る100兆個の細菌が存在しています。この細菌は、常在菌と呼ばれていて、ヒトに限らず、多くの多細胞生物の消化器官に共生しています。近年、この常在菌は宿主である多細胞生物の生命活動に重要な役割を果たしていることが明らかにされつつあります。このセミナーでは、マウスにおけるビフィズス菌及びショウジョウバエにおける酢酸菌の役割が主なトピックスでした。
 無菌状態で飼育されたマウスは、病原性大腸菌O157に感染すると細菌毒素(ベロトキシン)により死んでしまいます。しかし、この無菌マウスの大腸にある種のビフィズス菌が存在すると、O157に感染してもベロトキシンの吸収が抑制されて生存可能になります。これは、ビフィズス菌が産生する酢酸が大腸上皮細胞に働き、なんらかの機構でベロトキシンの吸収を抑制するためであると考えられています。また、無菌状態かつ貧栄養下で飼育されたショウジョウバエの幼虫は生育状況が悪く、成虫になれずに死んでしまいます。しかし、このハエの腸内に酢酸菌を共生させると生育状態が正常に回復するのです。このことは、酢酸菌がショウジョウバエの正常な成長に必須であることを示唆しています。また川畑教授自身の研究データから、トランスグルタミナーゼという酵素がハエの腸内の抗菌ペプチドの分泌量を調整して、腸内常在細菌の量を絶妙に調整していることを話していただきました。
 ビフィズス菌や酢酸菌は、ほとんどの多細胞動物の腸内に存在する常在菌ですから、マウスやハエの場合と同様に他の多細胞動物でも重要な役割を果たしている可能性があります。ですから,多細胞動物は自身の腸内に共生する細菌と生命複合体を構成しているとみなすことができるのかもしれません。

第3回公開講演会(11月8日)
◎「アインシュタインの考えたこと ―相対性理論入門―」 
鈴木 博 教授【九州大学 大学院理学研究院 物理学部門】

 鈴木先生の講演風景

 

 未来の科学者育成プログラム第3回公開講演会は、物理学科・鴇田先生にお世話をいただき、講師に同じく物理学科・鈴木 博先生をお招きして11月8日(土)午後2時から開催されました。演題は、「アインシュタインの考えたこと―相対性理論入門―」というもので、難しい内容でしたが素粒子理論が御専門の鈴木先生がやさしく解説して下さいました。
 アインシュタイン博士が一般相対性理論を発表した1905年から来年がちょうど百周年にあたりますというところから講演が始まりました(特殊相対性理論の発表は1905年)。鈴木先生がおっしゃるには、アインシュタイン博士は20世紀最大の物理学者の一人だということです。
 速度の合成についての練習問題から始まり、光の速度、電磁波、走っているものさしの縮み、走っている時計の遅れ、ミュー粒子の寿命の謎と次第次第にお話が難しくなると同時に鈴木先生の説明がだんだんと熱をおびてきました。アインシュタイン博士はニュートンの運動方程式を根本から書き直すという革命的ともいえることを成し遂げました。その結果、 E=mc2という有名な式が導かれました。
 つぎに素粒子物理研究について簡単な紹介が行われました。この研究領域では相対性理論はごく日常的に用いられていることが説明されました。
 されさらに一般相対性理論にしたがって、時間と空間の歪みかたと物質のエネルギー・運動量の分布が等しくなるという方程式として表現された(アインシュタイン方程式)。これによって人類は宇宙の形を定量的に考えることができるようになったということです。ニュートリノ、クォークなどの素粒子から、ブラックホールやビッグバンなど宇宙論までを議論することを可能にした相対性理論の一端をお話しいただきました。
 鈴木先生のお話は約1時間40分にも及びました。


第4回公開講演会(12月20日)
◎「海洋危険生物の持つ毒について ―クラゲなどの毒素を科学する―」 
永井 宏史 教授【東京海洋大学 大学院海洋科学技術研究科】
 永井先生の講演風景  
 今回は東京海洋大学大学院海洋科学技術研究科の永井宏史教授に「海洋気圏生物の持つ毒素について――クラゲなどの毒素を科学する――」というタイトルで講演をいただきました。海洋危険生物から得られる生理活性物質、この場合は生物毒、についてのお話でした。
 ひとくちに生物毒といっても、テトロドトキシンとして有名なフグ毒などの低分子毒素と、ペプチド毒素とタンパク質毒素が含まれる高分子毒素の2つがあります。これらのなかでも海洋危険生物がもつ毒素の多くがタンパク質毒素であるということです。これらの毒素の構造決定と全合成の研究が海洋天然物化学の研究の進展の大きな一翼を担ってきました。またイモガイがもつペプチド毒素から強力な鎮痛剤が開発されたということで、「薬学の世界では毒と薬は紙一重」という先生の言葉が印象的でした。
 人間に害を及ぼす海洋危険生物には驚くほどたくさんの種類があります。フグ、クラゲのほかにカサゴ、オコゼ、エイなどの魚類、ウニ、オニヒトデ、イソギンチャク、クラゲなどの刺胞動物などが代表的なものです。とくにすべての刺胞動物は刺胞とよばれる「毒素発射装置」を備えていて、刺胞を発射して瞬間的に「敵」にダメージを与える機能の紹介がありました。イモガイなども毒素を放出して「敵」に麻酔をかけたようにして倒す機能があることも紹介されました。これらの海洋危険生物が生存戦略の1つとしてどのようにして毒素生産機能を獲得し、適応してきたかは生物進化上たいへん興味深い問題です。
 こうした永井先生のご専門のお話に加えて、ご自身の高校・大学時代を振り返って進路選択、研究生活、就職などについても話していただきました。研究者を志してからというものは、研究が俄然面白くなり論文を読むことが苦ではなくなったといったエピソードに受講生は聞き入っていました。

第5回公開講演会(2月14日)
◎「エルニーニョ発生の仕組み」 
和方 吉信 教授【九州大学 応用力学研究所 地球環境力学部門】
 和方先生の講演風景  

 平成26年度の公開講演会は第5回となりました。きょうは九州大学応用力学研究所の和方吉信教授から「エルニーニョ発生のしくみ」という題で話をうかがいました。和方教授は大気海洋力学が御専門で、いろいろな海洋・気象現象についてデータ解析,数値モデリングなどの手法を用いて研究を続けておられます。
 エルニーニョ現象あるいはラニーニャ現象といった言葉は異常気象が話題になるたびにマスコミに登場します。私たちには聞き慣れた言葉ですが、その発生メカニズムについてはよく知らなかったというのが正直なところです。エルニーニョとは太平洋赤道域東部(南米チリ沖)の海表面温度が上昇する現象をいいます、同時に赤道域西部(インドネシア周辺海域など)の水温が連動して低下する地球規模での海洋環境変動です。これを発生させる原因として赤道域を流れる貿易風(東風)の勢力の変化が重要であるということでした。海洋表層の海水の運動(海流)や水温は、海水を運動させる最大の要因である風、すなわち大気の動きに深く関わっていることが強調されました。コリオリ力が流体に作用することによる深層〜表層までの海水塊の動きが基本的に重要であることが実験の動画を紹介しながら説明がありました。エルニーニョとラニーニャ(エルニーニョとは逆にチリ沖の海水温が低下する現象)は繰り返し発生します、それによって夏季には東南アジア地域やインドでの乾燥少雨、冬期には北半球各地での暖冬、アフリカ南部や南米大西洋岸での乾燥など全球的な気象変化がもたらされます。またカリブ海で発生し、北米東海岸に襲来するハリケーンの発生個数、進路、規模の変化もエルニーニョ、ラニーニャの発生と関係が深いようです。これらの気象変化は漁業や農作物の生産にも影響し、私たちの生活にも大きな影響を及ぼすことがわかりました。たいへん興味深いお話をいただきました。


研究発表会
第1回意見交換会(8月23日)
意見交換会 意見交換会
 昨年同様、出席した受講者全員がメモを作成して、それをもとにして受講者、担当教員、TAなどの前で自己紹介を行った。自分が通っている高校のこと、科学に関心をもつようになったきっかけ、将来の夢や希望、趣味などを紹介してもらいました。今後は学科ごとのセミナーが中心になります。公開講演会やこの意見交換会などの機会を利用して受講生どうしの交流・親睦を深めてほしいと思います。

第2回意見交換会(10月4日)
意見交換会
意見交換会
意見交換会
 第2回意見交換会のテーマは、「もしも・・・が・・・だったら」という面白いものでした。「もしも恐竜が絶滅していなかったらどうなっていたか?」、「もしも地軸が90度傾いていたら地球環境はどうなっているだろうか」などのテーマに対して、受講生4〜5名がグループになって、想像力を働かせていろいろな考えが出され、質問やコメントが飛び交いました。楽しい時間をすごすことができました。
 御講演いただいた川畑先生、当日の司会をして下さった生物科学部門の中條信成先生、意見交換会をお世話いただいたTAのみなさんにかんしゃいたします。ありがとうございました。

第3回意見交換会(11月8日)
意見交換会
意見交換会
意見交換会
 講演後の質疑応答では、受講生や一般参加者などからいくつかの質問がなされました。そのなかで、相対性理論がわたしたちの日常生活にももはやなくてはならないものなっていることを聞かせていただきました(たとえばGPS-人工衛星の高度・時刻補正など)。午後4時頃、質疑応答をいったん終えたあとも数人の受講生が鈴木先生と熱心に話していたのが印象的でした。

第4回意見交換会(12月20日)
意見交換会
意見交換会
意見交換会
 永井先生の講演のあと、化学部門・松本和弘先生とTAのかたがたが「分子模型を使って有機物を考える」と題した意見交換会が行われました。いろいろな分子模型を組み合わせて有機物を組み立ててみようというものです。30分ほどの短い時間でしたが、コレステロール、カフェイン、テトロドトキシンなどの有機物の分子構造が組み立てられていました。

第5回意見交換会(2015年2月14日)
意見交換会
意見交換会
意見交換会
 和方先生の御講演の後、地球惑星科学専攻のTAの指導でペットボトル、炭酸ストッパー、エタノールを使って雲を発生させる簡単な実験が行われました、炭酸ストッパーを開栓すると、ポン!という音とともにペットボトル内部では「雲」(エタノールが凝固した微粒子)が」発生し、わずかですが温度が下がりました。雲が出来る仕組みについて説明があり、一同おおいに納得して実験を終えました。

   
研究発表会 発表会新着情報

研究発表会

 いよいよ生徒発表会の日です。2014年度の生徒発表会は2015年3月21日(土)、旧工学部本館第1会議室で開催されました。保護者のかたがたに加えて、高校の先生や先輩・後輩、学科担当の教員、ティーチングアシスタントを務めた大学院生など大勢の出席をいただき、午前10時から午後4時まで生徒発表会が行われました。
 生徒発表会では、次世代科学者育成講座(ESSP)で昨年8月から自然科学の基礎を学んできた受講生がその成果を披露するものです。ESSPの生徒発表会はこれまでスライドを使った口頭発表の形式で行われるもので、今年もその形式で進められました。2014年度の受講生計26名のうち、学校行事でやむを得ず欠席した1名を除く25名がスライド発表にのぞみました。ひとりの発表時間は8分間で、その後2分間の質疑応答を行いました。なお当日生徒発表会に出席できなかった1名は後日、学科担当の教員の参加を得て成果発表を行いました。
 発表プログラムでは物理・化学・数学・地学・生物各学科受講者による発表をランダムに配置しました。これは自分が属する学科以外の学科の受講者の発表に接する機会を増やそうとの配慮によるものです。
 発表者は、各学科で習得した基礎的知識をふまえて自ら発見した課題や与えられた課題を教員や大学院生の指導を得て、自ら解いた結果を披露しました。どの発表もレベルが高く、教員や大学院生が聴いて楽しく興味をそそられるものでした。また発表では持ち時間が守られ、よく準備された素晴らしいプレゼンテーションでした。なかには数日間考え抜いてやっと解に至ったときの喜び、感動を言葉で表現した発表もありました。
 発表会開始直後は緊張のせいか、質問が少なかったのですが、場の雰囲気がなごんでくるにつれて次々に質問が飛び出しました。受講者はもちろん、大学院生やESSPの先輩などからも鋭い質問が出され、質疑応答が活発に行われました。下のスナップ写真に写っている、緊張感あふれる真剣な表情と、苦労しながら自ら考えて問題を解いた喜びに満ちた笑顔とが生徒発表会のすべてを物語っています 。

修了式

鈴木先生の講演風景
鈴木先生の講演風景
 2014年度ESSP修了式は生徒発表会終了後午後4時20分から山縣由美子本学理事と中田正夫理学部長の出席を得て行われました。2014年度のESSP受講者全員に対して山縣理事から各学科の代表者に修了証書が手渡されました。また各学科から1名ずつ選ばれた成績優秀者5名をエクセレント・スチューデントとし、中田学部長から表彰状が渡されました。
 表彰状の授与のあと、山縣理事からESSPと成果発表会に対する総評をいただきました。総評のなかでは、本年度のみならず2009年のESSPスタート以来、誰ひとりとして受講者がセミナーや発表などを落伍することなく受講者全員が立派にESSPを修了し、さらに多くの卒業生が科学の研究者をめざして進学・進級していることが高く評価されました。
 なお修了式のあと、当日出席した受講者全員と学科ごとの受講者で記念撮影をしました。さらにそのあと約1時間にわたって、受講者、保護者、担当教員、大学院生が参加して懇談を行ったのち解散、今年度の全てのプログラムを修了しました。



 
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