太陽系は46億年の歴史を持っていますが、太陽系ができて数億年後には、既に現在とほぼ同様の姿になっていたと考えられています。その中で地球上の生物には約30億年の歴史があり。私たちが身の回りで普通に見る生物の祖先はおよそ6億年前まで遡ることができます。
本研究分野では、地球と生物の歴史を理解するために、さまざまな地質時代の化石生物の古生態を解明し、さらに『生物の遺骸が、なぜ化石として保存されるのか?』という根本的な疑問に答えるために、詳細な野外調査に基づく化石の古生物学的研究を行っています(もう1名のスタッフについては、現在、選考準備中です)。
地球温暖化が最も進んだ白亜紀の地史を理解するためには、太平洋固有の環境や化石群が記録されている極東白亜系の全貌を明らかにする必要があります。そこで、未踏査地域を含む極東ロシアや北海道の白亜系層序と化石群を精査して層序や生物相の復元に取り組んでいます。同時に、白亜系から豊富に産するアンモナイト化石について、個体変異や個成長を考慮した生物集団の概念に基づく新しい分類学的手法を導入して分析しています。例えば、従来は2科2属4種に分類されていたものが、同一種内の二型現象であったことをつきとめるなど、その系統分類の再構築に取り組んでいます(図1)。
化石の産状は情報の宝庫です。アンモナイトの化石化作用の研究(タフォノミー)を日本で最初に立ち上げ、彼らの遺骸が植物片やパミスとともに密集する掃き寄せ保存など、アンモナイトに固有な化石化メカニズムを明らかにしてきました(図2)。
さらに、普通なら腐ってしまう皮膚や筋肉までもが例外的に保存された化石(化石鉱脈)の研究にも力を入れ、眼や付属肢がついたまま立体的に保存されている古生代カンブリア紀末期(約4億9,500万年前)のオルステン化石群の成因を世界で初めて解明しました(図3)。この分野では日本唯一の研究拠点としての役割を担っています。