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無機生物圏地球化学研究室

スタッフ

  • 赤木 右 教授
  • 石橋 純一郎 准教授

生物と地球システムとの関係を探りたい

 地球は太陽系の中で唯一生物が繁茂している惑星です。地球は生物の存在によってどのような影響を受けているのでしょうか。その答えは、生物と共存しながら生きて行かなければならない人間にとって、極めて重要かもしれません。地球上の物質の動きや反応には度々生物が関わります。生物が元素の動きや反応に関わることによって、地球全体にどのような影響を及ぼすか、その影響を探ります。また、様々な元素が集まり、資源を形成するまでの過程にも生物が関わっています。

海洋生物の役割と地球環境変化との関係

図1 プランクトンの関わった新しい元素循環

 海洋で重要なプランクトンは珪藻と円石藻です。これら二つは海洋の第一次生産量(二酸化炭素の固定量)のおよそ3/4を占めます。海洋表面で光を浴びて、ケイ藻は、海水から溶存ケイ酸を吸収しケイ酸質の殻を、円石藻は、カルシウムイオンを吸収して炭酸カルシウムの殻を作ります。ケイ藻と円石藻が海洋でどのような元素循環に関わっているのか、全く分かっていませんでした。それにはやや難しい学問上の理由があります。簡単に言えば、これらの殻は海水で沈んでいく途中で次第に溶けて消滅するので、これらの殻の役割が軽視されることになったのです。

 この研究室での理論的な考察によって、その障壁を解決できることが分かりました。すると、意外にもケイ藻のケイ酸質の殻は大変重要な役割を担っているプランクトンであることが次々と分かって来ました。そして、円石藻の炭酸カルシウムの殻も多くの元素を海水から奪いながら、沈んでいくことが分りました。海洋で未解決な様々な課題(海洋での元素の鉛直分布、海底資源の成因)や地球環境の様々な未解決の問題(氷期-間氷期サイクルの原因)が解決されるだけでなく、将来の大気二酸化炭素の増加の問題をも、解決する可能性を持っています。

図2 氷河期—間氷期サイクル Sigman et al. 2010

 海洋生物だけではありません。陸上の植物も積極的に陸の構成物質を溶かし、海に運んだり、大気の二酸化炭素循環に関わったりします。また、生物のそのような関与が生物の進化にも何らかの影響をもたらしているかも知れません。そのような観点で生物を見直し、地球のシステムの中で生物の総合的な役割を理解することにトライします。

海底下地殻内流体に支えられた物質移動と生命圏の繁栄

写真1 海底熱水噴出孔とその周囲に発達する化学合成生態系

 これまで暗黒の世界と思われていた深海底に流体の移動に伴う活発な物質の動きと生物圏の存在が明らかになってきました。例えば海底温泉の湧き出し口(熱水噴出孔)の周囲に見られる豊かな生物群集は、「化学合成」する微生物を一次生産者とする特異な生態系です。また熱水噴出孔を構成する硫化鉱物は金属元素を多く含んでおり、海底金属資源の形成につながると考えられています。どちらの現象も、海底下深部から上昇してくる熱水に溶存しているメタン・水素・硫化水素といった還元性物質が大きな役割りを果たしています。このように深海底で起こっている化学反応を一つ一つ解き明かし、一見、不思議に見える現象を化学の言葉で説明することを目指しています。