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物質宇宙進化学

スタッフ

  • 岡崎 隆司 教授 (分析系)
  • 山本 大貴 助教 (実験系)

宇宙・太陽系の形成・進化を物質科学的に解明する

 地球を含む多様な現在の太陽系天体は、太陽系の前駆体である分子雲の崩壊、塵とガスからなる原始太陽系円盤の形成、さらに塵の集積や天体間衝突による微惑星や原始惑星の形成といった一連の過程を経て誕生しました。隕石やリターンサンプルなどの地球外物質は、このような太陽系の誕生・進化の歴史を物質科学的情報として記録しています。当研究分野では、物質科学的観点から太陽系の形成・進化過程を解明することを目指し、以下のような研究を行っています。

(1) 地球外物質の元素・同位体分析

 太陽系46億年の進化は、地球外物質の化学組成や同位体組成に記録されています。本研究室は微量(原子数で5000個あれば検出可能)の希ガス同位体分析が可能な分析装置を有する、世界でも珍しい研究室です。希ガス同位体は物質の起源を決めるのに非常に有力な情報になります。例えば、太陽と地球大気、火星起源の隕石などは異なる元素組成を持っています(右図)。また、希ガス同位体を「時計」として用いることで、天体が形成した年代や天体同士の衝突加熱の起きた年代、隕石が小惑星などの元々の天体から放出されて地球に落下するまでに宇宙空間を浮遊していた期間などを決定できます。

 これまでに、隕石試料や探査機「はやぶさ」および「はやぶさ2」の回収試料の分析や、落下隕石の鑑定などを行っています。はやぶさ2の探査した小惑星リュウグウの元天体(母天体)がどのような環境で誕生し、いつ地球に近づいてきたか、などがわかってきました(左図)。その他にも、コンドライト隕石、小惑星ベスタ、火星起源隕石の年代測定なども行い、太陽系材料物質の起源、小惑星・惑星などの形成と進化過程の解明に向けた研究をすすめています。

(2) 宇宙環境を模擬した室内加熱実験

 太陽系形成初期には、希薄なガスと固体物質ダストからなる原始太陽系円盤と呼ばれる段階が存在し、その中で起こった様々な化学反応を通じた惑星材料物質の形成・進化は、現在の太陽系の化学的多様性に反映されています。本研究室では、原始太陽系円盤で起こる様々な化学反応に注目し、太陽系固体模擬物質を用いて宇宙環境を模した環境下での加熱実験をおこない、隕石などの天然サンプルの分析結果から初期太陽系の情報を読み解く試みをしています。具体的には、初期太陽系円盤はガス圧や時には温度が低く、化学反応は熱力学的平衡に容易に到達しないことから、化学反応速度論を用いた解釈が必要となります。そのため、実験後のサンプルの化学的・組織的分析から反応速度を支配している化学反応プロセスの速度パラメータを取得し、隕石などの分析からだけでは見えてこなかった初期太陽系の環境を復元する試みをおこなっています。

 一例として太陽系で最初に作られた物質である難揮発性包有物 CAIの酸素同位体組成に注目した実験的研究の結果を示します。この研究では、溶融を経験しメルト状態から結晶化したCAIと円盤環境を模した低圧ガスとの酸素同位体交換実験をおこない (上図)、天然溶融CAIの酸素同位体組成分析の結果を踏まえて、加熱継続時間、円盤全圧、冷却率等を定量的に推定しました (下図)。