イベント名 |
第10回地球惑星科学教室談話会 宇宙線と惑星物質の相互作用:同位体化学的観点から |
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イベント種類 | セミナー |
講演者(講師) | |
イベント詳細 | 演者: 日高 洋(名古屋大学大学院・環境学研究科) 要旨: 高エネルギー陽子を主成分とする宇宙線が大気に覆われていない惑星物質表面に照射さ れると、その極表面では核破砕や中性子捕獲などの核反応が生じる。これらの核反応の蓄積 によって、惑星物質中の特定の元素の同位体組成には検出可能なほどの変動がみられる。例 えば、希土類元素の一つである Sm は質量数 144, 147, 148, 149, 150, 152, 154 の 7 つの安 定同位体をもつが、このうち 149Sm は非常に大きな熱中性子捕獲反応断面積を有するため 宇宙線照射による核破砕反応によって二次的に生成される中性子を捕獲し、150Sm へと同位 体シフトする。月表層物質や、ある種類の隕石には 149Sm-150Sm の同位体シフトによる顕 著な同位体組成変動が見られ、この Sm 同位体組成から宇宙線照射環境を考察することが できる。また、同じく希土類元素の一つである原子番号 57 の La には質量数 138, 139 の2 つの同位体が存在し、そのうち 138La の原子核は陽子数 57,中性子数 81,ともに奇数から 成るいわゆる「奇-奇核」である。質量数が 50 より大きい核種の中で天然中に存在する奇- 奇核は 138La 以外では 50V,180Ta の2つのみであり,これらの同位体相対存在度は極端に 低く,原子核としては極めて稀な存在である。138La は p-過程核種であり,その原子核は中 性子捕獲などの通常起こりえる核反応では生成されないが、宇宙線照射がもたらす核破砕 反応によって生成される可能性が指摘されている(Mabuchi and Masuda, 1970; Shen and Lee, 2003; Burnett et al., 2015; Chen et al., 2015)。 本講演では、月表層物質や隕石などの地球外物質のいくつかの元素の同位体組成データ をもとに惑星物質の宇宙線照射環境について考察し、原始太陽がもたらした過剰な太陽宇 宙線によって原始太陽系星雲中の物質は局部的に照射されていたとする太陽宇宙線初期照 射説 (Fowler et al., 1962; Burnett et al., 1965)について言及したい。 |
対象 | 教職員向け 在学生向け |
使用言語 | |
キーワード | |
開催期間 | 2018年8月7日 16:30 〜 17:30 |
会場 |
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定員 | なし |
申込み方法 | 事前申込み不要 |
お問い合わせ先 |
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