イベント名 |
第1回 物理学教室談話会 アキラルなソフトクリスタルの電子線による非平衡ダイナミクス |
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イベント種類 | セミナー |
講演者(講師) | |
イベント詳細 | 講師:多辺由佳氏(早稲田大学 先進理工学術院 物理学及応用物理学専攻・教授) 弱い電子吸引性と電子供与性を持つ2種の低分子を混合すると、しばしば誘起スメクチック(Sm)相と呼ばれる高秩序Sm液晶相が発現することがある。我々は、ごく一般的な市販の液晶化合物、電子吸引性のシアノビフェニル液晶8CBと中性のアゾベンゼン誘導体7AB7を様々な割合で混ぜたところ、結晶に近い秩序を持つSmE相が発現することがわかった。 得られたSmE相の分子配置を調べるため、低エネルギー電子線回折実験を行った。一般的な電子顕微鏡は、電子線が試料に与えるダメージが大きすぎるため、ソフトマターを観察するにはレプリカをとったり凍結したりする。これに対して我々は、通常の電子顕微鏡より2~3桁エネルギーの低い電子線を用い、室温・高真空で、生のSmE試料の電子線回折像を撮ることに成功した。クリアな回折スポットはSmE相のヘリンボーン格子に対応し、格子定数は8.15Åと5.38Åとなって、X線回折実験で求めた値とほぼ一致した。生の液晶試料から電子線回折像が得られたのは初めての結果である。 低速電子線の役割は、生の液晶試料による回折像を与えるだけではない。特異なことに、電子線照射中、膜からの回折像は常に一定方向定速回転を示すのである。同じ組成で100個以上の膜を試したところ、膜によって回転方向は異なり、時計回りと反時計回りがほぼ1:1の比率で出現した。 アキラルな分子で構成された結晶に近いSmE膜が、なぜ電子線によって一方向に回転するのか、実験結果の詳細とそのモデルについて報告する。 |
対象 | 教職員向け 在学生向け |
使用言語 | |
キーワード | |
開催期間 | 2018年6月13日 16:00 〜 18:00 |
会場 |
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定員 | なし |
申込み方法 | 事前申込み不要 |
お問い合わせ先 |
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