イベント名 |
化学物理・生物物理セミナー エラスチン由来ペプチド(FPGVG)nの環状化アナログの自己集合に関する立体構造の解析 |
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イベント種類 | セミナー |
講演者(講師) | |
イベント詳細 | 題目: エラスチン由来ペプチド(FPGVG)n の環状化アナログの自己集合に関する立体構造の解析 講演者:巣山 慶太郎 氏(九州大学 基幹教育院 ) 日時:2018年5月10日(木)13:00 – 14:30 場所:九州大学伊都キャンパス ウエスト1号館10階 情報学習プラザ(W1-A-1011) 要旨:弾性タンパク質・エラスチンおよびエラスチン由来ペプチド(Elastin-derived peptide, EDP)は、「温度が上がると凝集し、下がると再び解離する」という、可逆的かつ温度依存性の自己集合(コアセルベーション)を示す。この特性のため、EDPは天然のアミノ酸のみで構成された生体に優しい分子素材として、薬物送達システム等への利用が検討されている。エラスチンやEDPの自己集合にはVal-Pro-Gly-Val-Gly (VPGVG) 等の特徴的なアミノ酸繰り返し配列が関わっているが、天然エラスチン由来のEDPであるpoly(VPGVG)nは、自己集合を示すのに200残基以上の長鎖が必要とされている。当研究室では、この繰り返し配列中の最初のValをPheに置き換えたペプチド・(FPGVG)nが、25残基程度の低分子量でも自己集合を示すことを見出した。こうした高い自己集合能を有するペプチドをさらに高機能化するため、(FPGVG)nの様々なアナログを合成して自己集合能を調べた。その結果、ペプチドを分子内縮合により環状化すると、自己集合能が著しく向上することが明らかとなった(図1)。 EDPの自己集合においては、温度変化に伴うペプチドの立体構造変化とそれに伴う分子の脱水和が重要であると考えられている。エラスチンや長鎖EDPの構造解析においては、「温度上昇に伴ってランダムな構造からβ-ターン構造が連続したヘリックス様構造に変化する」というモデルが提唱されているが、近年では「短鎖EDPが低温でコラーゲンヘリックス様構造をとり、温度上昇に伴ってこの構造が変性する」という報告もなされている。EDPの立体構造についてはNMRやCDスペクトル測定、X線構造解析による研究が行われてきたが、EDPは分光分析の解釈や結晶化が難しい場合も多い。当研究室では、分子動力学計算(MD計算)を用いたシミュレーションにより、様々な温度条件下で環状化(FPGVG)nの立体構造を予測し、計算結果を実際のペプチドを用いた濁度測定やCDスペクトル測定の結果と比較することで、温度変化に伴う立体構造の変化について考察を行った。その結果、環状化(FPGVG)nは温度変化に伴って疎水性残基を溶媒中に露出するように構造変化すること、いずれの温度においても分子内にPhe-Pro-Gly-Valの4残基が関与するβ-ターン構造を形成していることが示唆された。さらに、直鎖状ペプチドと環状ペプチドの計算および実験結果を対比し、自己集合能に影響を与える構造要因について検証した。本発表では、これらの内容について概説する。 |
対象 | 教職員向け 在学生向け |
使用言語 | |
キーワード | |
開催期間 | 2018年5月10日 13:00 〜 14:00 |
会場 |
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定員 | なし |
申込み方法 | 事前申込み不要 |
お問い合わせ先 |
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ホームページ | http://www.scc.kyushu-u.ac.jp/BioChemPhys/mnagao/seminar.html |
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