イベント名 |
九大素粒子実験セミナー 超冷中性子を用いた電気双極子モーメント探索実験 |
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イベント種類 | セミナー |
講演者(講師) | |
イベント詳細 | 講師:川崎 真介氏 高エネルギー加速器研究機構・助教 要旨:超冷中性子とは速度が7m/s、運動エネルギーが300neV 程度の極めて低エネルギーの中性子であり、物質容器に閉じ込めておくことが可能である。この特徴を用いて、超冷中性子は様々な基礎物理実験に用いられる。超冷中性子を用いて行う事が出来る基礎物理実験の一つに中性子電気双極子モーメントの探索実験がある。基本的粒子が有限の電子双極子モーメントことは時間反転対称性を破り、CPT 定理を仮定すればCP 対称性を破る。素粒子標準理論により説明されるCP の対称性の破れは現在の物質優勢宇宙を説明するには十分でなく、新たなCP 対称性の破れの起源が不可欠であり、電気双極子モーメントの存在はその候補の一つである。中性子や電子、原子核など様々な基本的粒子で電気双極子モーメントの探索が行われているが、これまでに有限の値が観測されたことは無い。現在の中性子電気双極子モーメントの測定感度は3.0×10-26ecm であり、測定感度は統計精度で制限されている。高強度の超冷中性子源の開発することでSUSY やmulti-Higgs 理論が予想する10-27ecm 領域の中性子電気双極子モーメントの探索が可能となる。日本・カナダの国際共同実験グループTUCAN はカナダ・TRIUMFに超冷中性子源を建設している。この超冷中性子源では重金属ターゲットに陽子ビームを照射したときに生じるスパレーション中性子を超流動ヘリウムを用いたスーパーサーマル法を用いて冷却することで超冷中性子を得る。我々のグループは大阪大学核物理研究センターに於いて、スーパーサーマル法を用いた超冷中性子生成の実証実験を成功させた。その超冷中性子源をTRIUMF に建設された超冷中性子源専用陽子ビームライン上に移設し、2017 年11 月にTRIUMF にて初めての超冷中性子生成に成功した。さらに、現在の中性子電気双極子モーメントの測定感度を1 桁以上更新する10-27ecm の感度に達するための超冷中性子源のアップグレードを計画している。本セミナーでは、超冷中性子の特徴や生成法、中性子電気双極子モーメントの観測方法について困難な点やそれを乗り越えるためのブレークスルーについて紹介する。 |
対象 | 教職員向け 在学生向け |
使用言語 | |
キーワード | |
開催期間 | 2018年3月7日 16:30 〜 17:30 |
会場 |
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定員 | なし |
申込み方法 | 事前申込み不要 |
お問い合わせ先 |
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