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イベント情報の詳細

イベント名 第5回地球惑星科学談話会
木星型惑星の大気力学と縞状パターン形成について
イベント種類 セミナー
講演者(講師) 竹広真一(京都大学数理解析研究所)
イベント詳細  1600 年代から知られている木星型惑星(木星・土星)の表面にみられる縞状パターンには, 赤道での幅広な強い東向きジェット流と中高緯度の交互に向きを変えた幅狭な東西ジェット流が伴っていることが近年の探査機観測や地上・宇宙望遠鏡により明らかにされた. このような表層大気の特徴はこれまでに多くの大気科学や流体力学の研究者の関心を引いてきた.
 赤道東向きジェットの存在は, 惑星自転軸から最も遠いところで大気が最も速く回転していることを意味しており, 「超回転」状態と呼ばれる. 単純な角運動量保存則に基づくと, 回転軸から最も遠いところでは他の場所よりも遅く回転することになるので, 何らかの加速機構が必要と考えられた. そのため赤道東向きジェットの生成維持は「赤道加速問題」とも呼ばれている. また, 中高緯度の縞状パターンと交互ジェットは流体力学の観点からも興味深いものである. しかしながら, 現在のところこれらの特徴を矛盾なく整合的に説明できる満足な力学的描像と理解は得られてはいない.
 このような木星型惑星大気の特徴の説明のために, 伝統的に「浅いモデル」と「深いモデル」と呼ばれる 2 系統のモデルが考察されてきている. 流体層の厚さが惑星半径に比して十分小さい「浅い」モデル,すなわち, 鉛直方向の静水圧近似の仮定の下で深部からの熱流と太陽加熱によって大気の運動が駆動されるモデルでは, 中高緯度の交互に表われる幅の狭いジェットは再現されやすいものの, 赤道域のジェットは必ずしも順行方向とはならない, というのが従来の認識であった. これに対して, 流体層の厚さがより深く, 非静力学過程を考慮した「深いモデル」, すなわち高速回転する球殻中の熱対流モデルでは, 赤道域の順行するジェットは容易に生成されるものの, 中高緯度の交互に表われるジェットの生成が困難であると考えられてきた.
 最近ではどちらのモデル系統においても, このような困難を克服するための工夫が試みられてきている. その一方で, これまでの数値実験に比べて, より長時間積分を行った結果, 初期に出現していた多数本の東西ジェットが融合消滅し, 最終的に2,3 本のジェットしか残らないことが示されており, これまで提案されてきた機構では縞状パターンの生成維持の説明が難しいことが示唆されている.
 本講演では, このようなこれまでの研究を概観し, スーパーコンピュータ「富岳」を用いた我々の最新の計算結果を紹介しつつ, 木星型惑星大気力学の研究の現状を紹介する.
対象 教職員向け 在学生向け
使用言語 日本語
キーワード
開催期間 2023年12月19日 17:00 〜 18:00
会場
会場名
地球惑星科学 講義棟 201
定員 なし
申込み方法 事前申込み不要
お問い合わせ先
担当
地球惑星科学部門 望月崇
E-Mail
mochizuki.takashi.817◎m.kyushu-u.ac.jp
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