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平成30年度 奨学金受給者報告書

氏名 Lさん
学科・専攻、学年 生物学科1年
留学先(国名) アメリカ合衆国(オレゴン州立大学)
留学期間 平成31年2月21日~平成31年3月21日

留学内容全体について

 留学全体は授業と特別プログラムで構成されていた。授業は平日の午前中に行われた。英語力、特にリスニングとスピーキングに焦点を当てた授業展開となっていた。トピックには科学に関する題材が用いられ知識を深めると共に、学術英語の語彙を多く学ぶことができた。また授業中に生じた質問をその場で発言しフィードバックをもらうことで授業内容をしっかり理解することができた。日本の授業とは授業形式が大きく異なり、その場で発言しやすい雰囲気が作られていた。また、その発言や答えが間違っていたとしても「ナイストライ!」と言ってもらえ、発言したこと自体を認めてもらうことができた。

 特別プログラムには、大学、大学周辺の探索や他の都市を訪れるトリップ、オレゴン州立大学の研究室を見学するツアー、現地の大学生と交流するパーティーがあった。トリップでは休日に紹介されたお店を訪ねることで自分の活動範囲が広がった。研究室見学では教授や大学院生から研究内容の説明を受け、実験室を見せていただいた。説明ごとに質問を受けてもらうことができ、自分の学科の分野だけでなく他分野の研究内容にも興味を持つきっかけになった。現地の大学生とは日本語クラスのパートナーとして、留学前からメールでやり取りをしていたためコミュニケーションが取りやすく、友達になることができた。休日には劇場に連れて行ってもらい、勉強に対する姿勢だけでなく普段の生活を知ることができた。

 留学全体を通して、日本で勉強することでは得られない話すときのスピード感や日常で使われている会話表現など学ぶことが多かった。フレンドリーな人が多く、自分の英語をどんどん使っていくことで表現の幅が広がった。また、細かな単語のニュアンスを知り言い方や使い方を意識するようになった。終始聞き取ることに集中しているため、常に試されている感覚だった。このことで自分の語学力も向上し、留学中楽しく過ごすことができた。

JapaneseクラスのパートナーとOSSEP参加者で撮った写真
JapaneseクラスのパートナーとOSSEP参加者で撮った写真

他国の人たちとの交流を通じてどのような変化がありましたか?

 アメリカ人と日本人の大きな違いとして「主張する」ことが挙げられると思う。自分が主張するということは。それだけ相手の話を聞いて理解している必要がある。また会話の中で自分が黙って聞いているだけでは相手に不快な印象を与えてしまい、その人との関係にも影響を与えてしまう。このこと防ぐために、常に話題に対して自分の意見を述べる準備をする習慣が身につき、相手の話の中で、疑問に思うことや知りたいことに敏感になった、また、自分の考えを持つだけでなく、自分からはっきりと相手に伝える事の重要性に気づいた。伝えることで、自分と相手の理解だけでなくその話題に対する理解も深めていくことができた。また英語のニュアンスと日本語のニュアンスの違いを意識する良いきっかけとなった。

Japaneseクラスのパートナー、英語の先生とフェアウェルパーティーで撮った写真
Japaneseクラスのパートナー、英語の先生とフェアウェルパーティーで撮った写真

留学によって変化が見られた事項について

 留学する前、漠然とアメリカは自由の国だと思っていた。しかし、留学を通して考えが変わった。きっかけは日本語クラスの先生が留学先の地域の歴史をフィールドワーク形式で案内してくださったことだ。アメリカで実際にあった人種差別の法律や歴史の話を聞いて、未だに人々の中に差別意識が残っていることを知った。先生がおっしゃった「皆さんに観光だけではなくて、知って欲しかったんです。」と言う言葉が忘れられない。理学専門分野や語学に関して学ぶことも多かったが、留学先でその国の歴史を知ることで、その国に対するイメージや自国に対するイメージは大きく変わった。これからのグローバル社会で、他の文化や固定観念を持つ人とも話す機会が増えていくと思う。今回の経験で、他国の歴史を知ることの大切さを知った。

今回の留学がこれからの進路にどのように活かされますか?

 私は将来、研究者になりたいと考えている。研究をしていく上で、議論は必要不可欠であると思う。今回の留学の経験を英語でディスカッションをする場面において、自分の意見を「遠慮なく」話す姿勢に生かしていく。「遠慮なく」というのは、不躾にいうことではなく、自分の伝えたいことをはっきり伝えることを指す。これらのことは自分の意見を伝えることができ、相手の意見を聞くことができて初めて成り立つことである。留学はその基盤を構築することに大いに意義があった。授業の中でもパートナーと会話しながら問題を解き進めていくパートがあり、実践的であった。また大学院を選んでいく上でも、海外の大学院を視野に入れて考えることができるようになった。

聖書勉強会で参加者と撮った写真
聖書勉強会で参加者と撮った写真

後輩に向けて留学して良かった事、準備しておけば良かった事等について

 留学では、自分の英語がどのようなニュアンスで伝わったのかを相手の反応から理解することができ、自分のリスニングスキル、スピーキングスキルを向上させることができる良い機会である。留学をすると決めたのなら留学先で学べる事を目一杯吸収するために、自分の持っている英語教材のディクテーションで発音を確認をする、リスニングで耳を慣らすなど努力が必要だと思う。ただ最も大切なのは、行動力だと思う。留学前の準備ももちろん大切だが、結局折角の機会を良いものにするのも、悪いものにするのも自分である。留学先で出会った人々は親切で自分の伝えようとしていることを理解するまで聞いてくれた。だから自分に自信がないからやらない、行動しないではなく、分からないからこそやってみることが大切だと思う。行動はやるかやらないかのどちらかである。最初は環境の変化に戸惑い勇気のいることだが、そこが経験の大きな違いを生むと思う。