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平成30年度 奨学金受給者報告書

氏名 竹熊 晴香
学科・専攻、学年 化学専攻 修士課程2年
留学先(国名) 延世大学(韓国)
留学期間 平成30年10月01日~平成30年10月31日

留学内容全体について

留学先について

 今回私は、韓国 延世大学のEunkyoung Kim先生の研究室に留学し、高分子のモノマー合成を行いました。合成したモノマーを基板の上で重合させ、高分子の膜を作製し、その膜に電圧をかけると、初めは黒かった膜は透明に変化します。この現象は、“エレクトロクロミズム”と呼ばれ、スイッチ一つで明るさや眩しさを調節できるスマートウィンドウなどに応用されています。エレクトロクロミズムや有機合成の分野は、私の研究分野とは異なるものだったのですが、今回合成に挑戦し、結果として5種類の化合物の合成を行うことができました。

研究生活について

 研究においては、月曜日から土曜日までの週6日間研究室に通い、研究室のメンバーに実験操作を習い、合成から精製・分析を行ないました。また、土曜日の午前中には論文紹介や研究進捗報告を目的としたセミナーが開催され、全員英語を用いて発表が行われていました。私も最終週には自分の1ヶ月の研究の総括を発表することができました。

休日の観光について

 忙しい研究生活ではありましたが、研究室のメンバーに韓国滞在中に行くべきオススメの観光地の情報やその場所への行き方を教えてもらい、休日には観光も出来ました。韓国は日本と近い国ですが、両国の文化には相違点が多くあり、伝統的な文化を知るもの興味深かったです。

正門の前で

他国の人たちとの交流を通じてどのような変化がありましたか?

英語について

 留学に行く前は、韓国の学生は全員英語が流暢に喋れるというイメージがありましたが、実際には、全員が英語を得意としているわけではありませんでした。そのような状況だったので、自分も躊躇せず英語を喋ることが出来ました。また、第二外国語同士での会話は、意思を伝えるために別の表現に言い換えることも多く、英語で表現する力もついたように思います。

国際問題について

 日本と韓国には慰安婦問題や領土問題が横たわっており、日本人だからという理由で嫌われることもあるかもしれないと思って韓国に向かいました。ですが、知り合う方は皆とても親切で、韓国のご高齢の女性と飛行機で隣になった際も、言葉は通じないながらも助け合い、意思の疎通ができました。この経験は、人種差別をするような人はどの国でも一部であり、個人同士で親しくなることは大いにあるという確認にもなる良い機会でした。

食後のコーヒータイム

留学によって変化が見られた事項について

理学分野へのアプローチ方法について

 留学した一ヶ月の間に、最初に様々な文献を読み、改善点を考え、今後の実験方針・具体的方法を計画し、研究を進めるという流れを経験することが出来ました。このアプローチ自体は日本と同じだと思うのですが、私が韓国で驚いたのはその速度です。滞在した研究室のメンバーは、文献調査やスライドへの情報抽出を物凄い速度で終わらせていき、素早く研究室内で共有していました。あのような仕事ができるのは、もちろん積み重ねた経験値もあるとは思いますが、無駄なく・満遍なく研究を進めようという共通認識が根底にあり、更に上へというエネルギーがあるからだと思いました。私にとって、未知の分野ということもあり、その韓国のスピードで研究をするということはいくらか難しかったのですが、その速度に置いていかれずに付いていくよう努力したことで、韓国流の研究方法が少しは実践できるようになりました。

今回の留学がこれからの進路にどのように活かされますか?

実験内容について

 韓国で行った合成実験は、共に実験計画を立て、状況・状態を分析してくださる先輩がおられたからこそ成立した部分が大きく、自分一人で反応を探し、合成経路を考えて実行するレベルには到達しなかったのですが、ひとつひとつの実験操作の背景を理解することで、今後実験を行う際に応用可能な経験を積むことができました。

研究の取り組み方について

 日本でもニュースになるのでご存知の方も多いと思いますが、韓国は厳しい学歴社会です。私が留学したのは、韓国の中でも三本の指に入る大学で、学生さんはその試験を超えてきた方たちでした。その分、彼らは凄まじい速度とエネルギーをもって研究に取り組んでおり、今回の留学ではその様子を肌で感じることができました。このことは、私が研究を続けていく上で極めて有意義な経験だと思います。

韓国料理に挑戦

後輩に向けて留学して良かった事、準備しておけば良かった事等について

後輩に向けて

 今回の留学で、私は研究とは別に、良い留学生活を送るため、「小さな勇気を出す」という目標を立てていました。例えば、分からないことを英語で質問すること、食べたことのないものに挑戦すること、行ったことのない場所に一人でも行くこと、です。いつもとは違う環境を意識することで、自分の行動を客観的に見つめることが出来、後悔のない留学生活を送ることが出来ました。差し出がましい提案かもしれませんが、みなさまも留学に行かれる際は目的実現のために、目標を立てておくと良いのではないかと思います。

準備しておくべきだったこと

 大学内では大半の生徒が英語を話せるので、食事や研究で韓国語を使えずに困ることはありませんでした。しかし、大学を一歩出るとコンビニなどのお店では韓国語で話しかけられるので、単純な会話でも苦労することになりました(例:レジ袋はおつけしますか?)。そこで、公用語が英語以外の国に行かれる方は、あらかじめ単純な会話程度は検索しておくことをお勧めします。