地球惑星科学専攻 博士後期課程2年の所司 歩夢さんが「日本惑星科学会最優秀発表賞」を受賞しました。この賞は、日本惑星科学会が秋季講演会において優れた研究発表を行った学生会員を表彰する制度で、「最優秀発表賞」と「優秀発表賞」が設けられています。博士号未取得の学生が、研究内容や発表技術の向上に主体的に取り組むことを奨励し、その成果を学界や社会に広く発信することを目的としています。
所司 歩夢 (地球惑星科学専攻 博士後期課程2年)
へびつかい座分子雲に位置する原始惑星系円盤の超解像度サーベイII: ダスト円盤半径の統計的解析および詳細構造の形成時期に関する考察
本研究では、スパースモデリングを応用した新たな超解像度画像解析法をALMAの観測データに適⽤し、太陽系近傍にあるへびつかい座分⼦雲に分布する78個の原始惑星系円盤を解析した。その結果、従来法に⽐べて約3倍以上高い解像度を実現し、27個の円盤で円環状や螺旋状の詳細構造を検出した。解析の結果、円盤半径の分布は進化段階によらず大きな差がなく、ボロメトリック温度との相関から、星が誕⽣してから数⼗万年の初期段階で詳細構造が多く現れることが明らかとなった。これは、星周囲に分⼦ガスや塵が豊富に残存している、原始惑星系円盤の形成初期段階で、すでに惑星の形成が始まっている可能性を指摘している。