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柴田助教、川畑主幹教授らの研究グループがタンパク質分解酵素の前駆体から活性型への不安定な中間状態 (遷移状態) を捕まえました。

  • 2018年6月11日(月)

 今回、理学研究院の柴田俊生助教、川畑俊一郎主幹教授らの研究グループは、タンパク質組換え体の技術で調製したカブトガニ凝固因子のひとつである C 因子の変異体を用いて、遷移状態の C∗ 因子を捕らえることに成功しました。グラム陰性菌の細胞壁成分であるリポ多糖 (LPS) は、過剰に感染すると発熱や多臓器不全、さらには致死性のショック症状を引き起こします。一方で、カブトガニ血球から分泌されるタンパク質分解酵素前駆体の C 因子は、ごく微量の LPS に鋭敏に反応して活性型の α-C 因子となるため、LPS の高感度検出試薬として利用されてきました。これまで、細菌表面の LPS に結合した C 因子は、不安定な中間状態である遷移状態の C∗ 因子となり、C∗ 因子同士が接近して活性型の α-C 因子に変換されると推定されていました。この活性化の過程をタンパク質分解酵素前駆体の自己触媒的活性化といいます。しかし、自己触媒的活性化の重要なステージである遷移状態は不安的で寿命が短く、その実態を捕らえることはできませんでした。今回の遷移状態を捕らえる研究手法は、自己触媒的活性化を介して活性化される他のタンパク質分解酵素前駆体の研究に応用されることが期待されます。

 本研究成果は、米国の国際学術誌「The Journal of Biological Chemistry」のオンライン速報版で 2018 年 6 月 5 日 (火) (日本時間) に掲載されました。近日中に確定版が掲載される予定です。(http://www.jbc.org/cgi/doi/10.1074/jbc.RA118.002311)

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