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令和元年度 奨学金受給者報告書

氏名 Aさん
学科・専攻、学年 物理学科 国際理学コース1年
留学先(国名) オレゴン州立大学(アメリカ合衆国)
留学期間 令和2年2月20日~令和2年3月19日

留学内容について

 この留学は主に、午前中の英語の授業、クラスオブザベーション、サイエンスツアーを通じて学習面の体験を行うことができます。また、フィールドトリップなどでいくつかの場所に赴き、アメリカの現地の人々の暮らしや自然に触れることができます。午前中の英語の授業は、英語のリスニングとスピーキング能力の向上を目的とする授業、アメリカの歴史や文化を理解する授業、理学系のライティングやリーディング能力に焦点をおいた授業という3つの授業から構成されており、少人数のグループでの授業を通じて各種英語の技能を向上させることができます。その上、日本の授業とは異なる形態のインタラクティブな授業を体験することができます。教材も教科書を用いるのではなく、教師陣が準備した資料を使用するためそれぞれの授業に個性があり、また授業内容は一ヶ月と言った留学期間に対して適切な量が与えられているのが良い点です。具体例として、ライティングの授業ではストローとテープでペットボトルを支える橋を作る授業があり、これを通してレポートを書く上での基本的なプロセスや、エッセイの基本構成を学びました。この活動はグループで行われ、班員と英語でコミュニケーションを取りながら計画や建設を行うため、コミュニケーション能力を鍛えることもできたのが印象にのこっています。クラスオブザベーションでは実際に現地の教授が授業を行っている様子や、現地の学生が授業を受講している様子を見ることができるので、アメリカでの授業に対する理解が深まります。この際に教授に話しかけておくと、日本の教授との違いをより実感することができます。サイエンスツアーでは、主に生物学や農業の研究の話を聞くことができます。具体的には、ヘーゼルナッツの栽培に関する話や、イソギンチャクに焦点をあてた海洋生物学の話、生物物理の話などを聞くことができます。実際にヘーゼルナッツを食べたり、イソギンチャクを顕微鏡で観察するなど、多くの体験をすることができます。

Weather Bridge前
Weather Bridge前

他国の人たちとの交流を通じてどのような変化がありましたか?

 現地の人々との交流を通して日本との文化の違いを実感し、多様な考え方に対する許容能力が高まったと感じました。自分は他人とは異なる部分が多々あるため、大多数の人間が持っている考え方と異なる自分の考え方を自分自身が許容する必要がありました。協調に重きを置き空気を読んで他者に合わせるという文化の中ではこのことは非常に難しく、どこか居心地の悪い思いをすることが少なからずあったのですが、今回の留学で現地の学生がみな個性を大切にして自分の行きたいように生きていることが感じられて、自分として生きることが許される環境が存在していることを実際に体験することができたのは自分の人生において非常に大きな価値のあることだと感じています。

スカベンジャーハントにて
スカベンジャーハントにて

留学によって変化が見られた事項について

 語学力はこの一ヶ月で格段に向上したわけではありませんが、とっさに出てくる英語の量が増えたという印象があります。学習活動を通して最も変化した部分は、臨機応変な対応が可能になった点だと考えています。留学中は初めての体験やトラブルが避けられないため、目の前の困難に事前のプランなしに立ち向かっていく必要がありますが、この過程でその場の問題を解決する能力が鍛えられたと感じています。これに付随する変化として、新しい体験に対する恐怖心の低下も感じられます。臨機応変さは未知の困難の解決に対する自信に繋がり、結果として新しい体験への恐怖を和らげてくれます。このことから、特にこれまで十全に準備をして物事に取り組んできた人に対して、この留学を勧めたいと考えます。

今回の留学がこれからの進路にどのように活かされますか?

 「進路」を単に「将来」と解釈するなら、この留学はこれからの人生に大きな良い影響を与えると考えています。今回の留学で得たものの中で最も重要なものは、前述した多様な価値観への許容です。これにより自分を完全に受け入れ、いかなる価値観の中においても自分であることを妥協せずに生きていくことが可能となります。つまり、自身の判断を主軸として選択を行うということです。これは決して自分に対する他者の評価を排除する行為ではなく、他者の考えも一度許容した上でニュートラル(つまりロジカル)に考え、自己に反映するに値する価値観であると判断されれば取り込むということも視野に入れたものであると理解されたいです。

ルームメイトと
ルームメイトと

後輩に向けて留学して良かった事、準備しておけば良かった事等について

 この留学で、私は日本とは異なる価値観に触れることができました。恐らく、これはどの参加者も感じていることだと思います。しかし、同じ体験においてもどう感じるかは人それぞれ異なるため、他の参加者との感じ方の違いを通じて自分を知るのも面白いかもしれません。これができるのは、異なる学科間の交流があるこの留学プログラムの良い点であると言えます。最後に、実用的なアドバイスをしておきます。服は3着分ほどあればよいです。洗濯機と乾燥機が無料で使えるので、その点は困りません。洗濯洗剤は持っていく必要はないと思います。今回は全員に配布されましたが、もし配布されないとしてもILLC(英語の授業がある建物)1階にある売店で購入することができます。寮がMcNaryの場合は、一回にある飲料自販機でクレジットカードを利用する際に、カードを上から下にスキャンすると何度やってもエラーが出るので、下から上にスキャンする必要があります。