大学院理学府地球惑星科学専攻修士課程2年の武村盛良さん、博士後期課程1年の河端康佑さんが2026年9月に金沢大学で開催された「日本地質学会第133年学術大会」において行った研究発表で、共に「優秀発表賞」を受賞しました。
この賞は優秀な学生を顕彰するため、口頭・ポスターともに「日本地質学会学生優秀発表賞」を設けたもので、厳正なる審査により決定されます。
今回の受賞は、武村さん、河端さんの研究内容と発表技術が高く評価されたことを示すものであり、今後の研究活動への大きな励みとなることが期待されます。
武村 盛良 (大学院理学府地球惑星科学専攻 修士課程2年)
美濃帯犬山地域における後期三畳紀放散虫・コノドント統合化石層序
本研究では、三畳紀と呼ばれる地質時代の深海底で堆積した岐阜県犬山地域の地層を対象に、放散虫とコノドントという2種類の微小な化石を用いて、地層の年代を詳しく調べました。化石の抽出には、研究室で開発された水酸化ナトリウム (NaOH)を用いる新しい手法を採用し、従来の方法よりも保存状態の良い化石を得ることができました。その結果、後期三畳紀の約3000万年を通じた連続的な化石記録を明らかにし、これまで特定が難しかったカーニアン/ノーリアン境界やノーリアン/レーティアン境界という2つの地質年代境界を認定することに成功しました。本研究の成果は、これらの時代境界で起こったとされる環境変動や生物相の変化を、ヨーロッパや北アメリカの記録と比較して解明するための重要な年代的基盤となります。
河端 康佑 (大学院理学府地球惑星科学専攻 博士後期課程1年)
パンサラッサ北西地域におけるT-OAE初期の陸域システムの転換と、陸域―海洋域での炭素循環摂 動に対する応答の証拠
本研究では、約1億8300万年前に起こった大規模な地球温暖化イベントと「トアルシアン海洋無酸素事変」に伴う環境変動を明らかにするため、山口県下関市に分布する地層を調べました。分析には、地層中の有機物に保存された山火事や土壌侵食の痕跡を、超臨界トルエンを用いて抽出する手法を採用しました。その結果、大規模な温暖化が始まる直前に山火事が発生し、その後、陸上の環境が大きく変化した可能性が示されました。また、陸域から海洋への栄養塩供給が増加し、海洋の生物生産が活発になった可能性も明らかになりました。本研究の成果は、過去の急激な地球温暖化に対して陸域と海洋の環境がどのように応答し、相互に影響を及ぼしたのかを解明するための重要な手がかりとなります。