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山口特任助教らの研究グループが太陽系の外側にあたる遠い場所でも惑星の材料が集まることを示唆しました。

  • 2026年10月19日(月)

ポイント

  • 生まれたばかりの星を取り巻くガスと塵の円盤 (原始惑星系円盤)には、明るいリングと暗い溝が交互に並ぶ模様がよく見つかる。しかし、この模様が何によって作られるのかはよく分かっていない。溝の数だけ惑星があると考えると、惑星の形成時間や軌道の安定性に無理が生じることが多い。
  • おおかみ座の方向約500光年にある若い星V1094 Scoの円盤を調べた。アルマ望遠鏡の公開データに、日本発の超解像技術PRIISMを適用した。その結果、内側の二重の溝は隠れた低質量の惑星で説明できることを明らかにした。一方、外側の規則的なリングは、塵が自らの重力で集まる仕組み (永年重力不安定)で説明できることを示した。
  • 太陽と海王星の距離の数倍も遠い、冷たい場所でも惑星の材料が集まり得ることを示す成果である。円盤の模様の起源と惑星の誕生を結びつける基準天体として、今後の観測や理論研究の進展が期待される。

概要

 太陽系のような惑星系は、生まれたばかりの星を取り巻くガスと塵の円盤 (原始惑星系円盤)の中で誕生します。アルマ望遠鏡の観測により、こうした円盤には明るいリングと暗い溝が交互に並ぶ模様が数多く見つかってきました。しかし、この模様が何によって作られるのかは分かっていません。溝の一つひとつを惑星が掘ったと考えると、惑星ができるまでの時間や軌道の安定性の面で無理が生じることが多いのです。そのため、惑星に頼らない別の仕組みが求められていました。

 本研究では、おおかみ座の方向約500光年にある若い星V1094 Scoの円盤に着目しました。そして、リングの起源が場所によって異なることを示しました。内側にある二重の溝は、地球の数十倍の質量を持つ惑星が一つあると考えると自然に説明できます。一方、外側に規則正しく並ぶリングは、塵が自らの重力で集まる「永年重力不安定」という仕組みで説明できることを示しました。

 九州大学大学院理学研究院の山口正行特任助教 (兼:国立天文台 特任助教)と町田正博教授は、国内外の研究者と共同で、この円盤を詳しく調べました。アルマ望遠鏡の公開データを一つに統合し、日本で開発された超解像技術PRIISMを適用したのです。その結果、中心の星から100〜230天文単位の範囲に四重のリングと溝を、これまでで最も鮮明に分解しました。この円盤は、近くの星形成領域で調べられているどの円盤よりも大きな円盤です。塵の円盤は太陽と海王星の距離の約13倍、ガスの円盤は約25倍にまで広がっています。さらに、円盤の表面をとらえた近赤外線の画像と比べました。すると、内側の二重の溝は、表面の溝と同じ位置にありました。一方、外側のリングには、表面に対応する構造がありませんでした。この違いが、内側と外側で異なる仕組みが働いていることを示す決め手となりました。

 塵が自らの重力で集まる仕組みは、日本の研究者を中心に理論的に予言されてきました。しかし、実際の円盤でその条件が満たされるかを観測から定量的に調べた例はほとんどありませんでした。本研究は、太陽系の外側にあたる遠く冷たい場所でも、塵が自発的に集まって惑星の材料を準備し得ることを示しています。今後、この円盤に隠れているとみられる惑星の直接観測や、他の円盤への同様の解析が進むでしょう。それにより、惑星がどこでどのように生まれるのかの理解が深まることが期待されます。

 本研究成果は、米国の天文学誌 The Astrophysical Journalに2026年7月29日(水)(現地時間)に掲載されました。(https://doi.org/10.3847/1538-4357/ae819b)

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