大学院理学研究院物理学部門の笠原 裕一教授が、「第2回藤井德夫賞」を受賞しました。
九州大学は、「Kyushu University VISION 2030」において、国際競争力を有する研究力の強化を最重要課題として掲げ、様々な取り組みを進めています。この方針のもと、2024年度に創設した「藤井德夫賞」は、本学卒業生でありイフジ産業株式会社創業者である藤井德夫氏からのご寄附により設立された顕彰制度で、将来的なノーベル賞受賞につながる独創的かつ先駆的な研究を奨励することを目的としています。
笠原教授の研究は国際的に高く評価されており、今後の更なる発展が期待されています。本賞の受賞者は、2026年度開学記念式典にて表彰される予定です。
笠原 裕一 (大学院理学研究院物理学部門 教授)
磁性絶縁体におけるマヨラナ粒子、非可換エニオンの発見
半整数熱量子ホール効果を世界で初めて観測し、キタエフ量子スピン液体を示唆する磁性体絶縁体におけるトポロジカル端モードの存在を強く示唆した物性物理学の歴史的成果である。独創的な熱輸送測定により、電荷系で知られる量子ホール現象をスピン系で実証し、理論予言から約80年その存在の確証が得られていなかった自己共役性を持つマヨラナ準粒子の出現を支持する結果を得ている。量子情報技術の観点からも非可換エニオンに基づく誤り耐性型トポロジカル量子計算の基盤として期待される。ノーベル賞級の意義を有し、さらなる発展によりその価値が一層高まる業績として顕彰する。
この度は第2回藤井德夫賞を賜り、誠に光栄に存じます。本研究は多くの共同研究者の皆様のご協力によるものであり、心より感謝申し上げます。受賞対象となった研究では、長年「幻の粒子」とされてきたマヨラナ粒子と、それに由来し特異な性質を持つ粒子(非可換エニオン)が、実際の物質中に現れることを示しました。今後も基礎研究を主軸に、その深化を通じてこれらの粒子を用いた将来の応用展開にも貢献していきたいと考えております。