大学院理学府物理学専攻2年の尾中 裕紀さん、河野 太一さんが2025年11月4日~6日に京都大学で開催された「第13回ソフトマター研究会」において、学生による優れたポスター発表に贈られる「ポスター賞」を受賞しました。
ソフトマター研究会は、高分子やコロイド、生体物質など「やわらかい」物質を対象とする研究者が集まり、最新の成果を共有し、分野横断的な議論や交流を行う場です。物理・化学・生物・工学など幅広い分野の研究者が参加し、学際的なネットワークを築いています。
今回の受賞は、尾中さん、河野さんの研究成果と発表が高く評価されたことを示すものであり、今後の研究活動への大きな励みとなることが期待されます。
尾中 裕紀 (大学院理学府物理学専攻 修士課程2年)
流路の幾何学的非対称性によるクインケ粒子集団運動の制御
自己駆動する粒子系の集団運動は、周囲の環境の影響を大きく受けることが期待される。本研究では、電場で自己駆動するクインケ回転粒子を、境界壁に非対称ラチェット構造が持つ流路に分散し、そのラチェットの大きさを変えた場合の集団運動の変化を調べた。その結果、流路の幅が狭い場合には初期の運動方向によらず一方向の流れが生じ、流路の幾何学的形状のみで、流れの向きを制御することに成功した。
河野 太一 (大学院理学府物理学専攻 修士課程2年)
クインケ粒子の集団運動が誘起する特異なレオロジー挙動
電場で自己駆動するクインケ回転粒子が分散した系において、巨大な負の見かけの粘性を初めて観測した。さらに、粒子が同一方向に進行する集団運動によって誘起される自発流れが負の粘性の起源であることを粘性測定と粒子速度の同時測定を実現することで定量的に示すことに成功した。