HOME > 広報 > トピックス > 2025年10月22日(水)

松鵜 恭弘さんが「第19回分子科学討論会(広島)2025」にて「分子科学会優秀講演賞」を受賞しました。

  • 2025年10月22日(水)

 大学院理学府化学専攻修士課程2年の松鵜 恭弘さんが、2025年9月に広島で開催された「第19回分子科学討論会(広島)2025」において、「分子科学会優秀講演賞」を受賞しました。

 この賞は、分子科学討論会における口頭発表の中から、特に優れた研究発表を行った若手研究者に対して贈られるもので、分子科学会の選考委員による厳正な審査を経て選出されます。授賞対象は、発表時点で学生であるか、または33歳未満の分子科学会会員であり、筆頭著者として口頭発表を行った者に限られ、毎年最大10人が選ばれます。

 今回の受賞は、松鵜さんの研究内容と発表技術が高く評価されたことを示すものであり、今後の研究活動への大きな励みとなることが期待されます。

受賞者

松鵜 恭弘 (化学専攻 修士課程2年)

研究テーマ

デラフォサイト型CuMO2層状酸化物(M=Al, Fe, Co, Ga)の結晶構造と電子状態が電気化学的CO2還元反応に与える影響

研究概要

Cu触媒は、電気化学的二酸化炭素還元(CO2RR)において、メタン、エチレン、アルコール類など有用な炭化水素化合物を生成する。しかしながら、Cu触媒上では、CO2RRと水素発生反応(HER)の競合、および30以上の複雑な反応経路の存在に起因して、生成物選択性が低いことが課題である。そこで、我々は、生成物選択性の制御を目的として、高い設計自由度を有するデラフォサイト型層状酸化物CuMO2(M=Al, Fe, Co, Ga)に着目する。この酸化物では、Cu+層と[MO2]−層からなる層状構造のMサイトにイオン半径の異なるpブロックおよびdブロックの3価カチオンを導入することで、Cu–Cu間距離の制御が可能である。さらに、導入されるカチオン種によって伝導帯下端の軌道構成が変化するため、触媒の電子状態とCO2RR特性の相関を明らかにするうえで有用な研究対象となる。本研究では、CuAl1−xFexO2、CuGaO2、CuCoO2を合成し、それらのCu–Cu間距離および電子構造がCO2還元生成物に与える影響を系統的に調べた。

関連先リンク