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宮田准教授らの研究グループが高効率な室温りん光を示す分子液体を開発しました。

  • 2025年9月4日(木)

ポイント

  • 室温で高効率なりん光を示す有機分子液体の開発に成功
  • これまで、レアメタルを含まない有機分子では効率の良いりん光は得られないことや、液体状態の有機分子では高効率なりん光を得ることが難しいという課題があったが、独自開発した高速りん光を示す分子骨格を液体化することで、レアメタルを使わず、従来に比べて大幅な効率向上が可能に
  • フレキシブルディスプレイやウェアラブルデバイスなど柔軟性が不可欠な発光素子への応用に期待

概要

 大阪大学大学院理学研究科の大島祐也さん(研究当時:大学院生)、岡田りかさん(研究当時:大学院生)、谷洋介助教(研究当時)(現:名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所・特任准教授)らの研究グループは、同研究科・井上正志教授らのグループ、同研究科・中野元裕教授らのグループ、九州大学大学院理学研究院の宮田潔志准教授らのグループと共同で、室温で液体状態の有機分子から世界最高効率のりん光を得ることに成功しました。りん光は、有機ELやバイオイメージングなどに有用な発光現象の一種です。

 これまで高効率なりん光を得るには、イリジウムや白金などのレアメタルを使うことが必要と考えられていましたが、レアメタルは安定供給に課題があります。また、有機分子でも、結晶状態であれば高効率なりん光を示す例が報告されていましたが、自由な形態をとることができる液体状態の有機分子では、高効率なりん光を得ることは困難でした。

 今回、研究グループは、独自に開発した高速りん光を示す分子を液体化することで、世界最高効率の室温りん光を示す有機分子液体を開発しました。これにより、高速りん光に基づく材料開発の有効性が示され、変形に強い発光材料が必要なフレキシブルディスプレイなどへの応用が期待されます。

 本研究成果は、英国王立化学会の「Chemical Science」に、9月3日(水)18時(日本時間)に公開されました。(https://doi.org/10.1039/D5SC03768A)

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