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中條講師らの研究グループは、リボソームがニワトリの筋肉細胞の増殖を促進することを明らかにしました。

  • 2025年6月10日(火)

    ポイント

    • 動物資源を培養技術によって製造する新たな技術の開発は、喫緊の社会的課題
    • リボソームが成長因子の分泌を亢進することを世界で初めて発見
    • リボソームを細胞に導入することにより、培養肉を効率的に産生できることを期待

    概要

     九州大学基幹教育院/システム生命科学府の井上翔太大学院生、Anamika Datta大学院生、中山晋太郎大学院生、隆広聖大学院生、中條信成講師、田村茂彦教授、太田訓正教授、ワシントン大学のArif Istiaq研究員、インテグリカルチャー株式会社(以下、インテグリカルチャー社)の川島一公博士の共同研究グループは、リボソームを細胞に取り込ませると、成長因子の分泌が促進し、ニワトリ筋肉細胞の増殖を亢進することを世界で初めて明らかにしました。

     インテグリカルチャー社が開発している「CulNet System」は、細胞培養においてユーザーが簡単に利用できる自己持続型細胞培養環境の提供を目指しています。しかし、細胞農業における主要な課題の一つは、細胞培養に必要な成長因子や培養培地にかかるコストが高いことです。本研究で示したように、リボソームを取り込んだニワトリ筋肉細胞が細胞増殖を促進する成長因子を分泌することは、これらの課題を克服する新しい戦略となる可能性を示しています。今後、リボソームをCulNet Systemに組み込むことで、細胞が自己増殖を支える成長因子を生成する自己持続型培養環境が強化され、細胞農業の生産効率が向上し、生産コストの削減が期待できます。

    本研究成果は、2025年6月1日(日)に科学雑誌「Journal of Developmental Biology」で公開されました。(https://doi.org/10.3390/jdb13020019)

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