この研究では、小さな地震の数の分布(b値)と、大きな地震が起こる前ぶれとの関係に注目しました。b値は、地震が起きる断層の「ストレス(応力)の大きさ」や、「強さへの切迫度」を示すと考えられていますが、これらを区別することや実際にどう関係しているかはまだはっきりしていません。
そこで九州大学大学院理学研究院の松本聡教授は、新たに「効率」という指標を提案しました。これは、ある範囲の中で発生した地震のモーメント(地震エネルギーのようなもの)を使って、その領域の岩盤がどれだけ“効率よく”壊れているかを示します。この効率は、岩盤の強さ(モール・クーロン破壊条件)と関係があります。この効率が高いと、大きい地震を起こしやすい傾向があり、より「強さへの切迫度」が高いといえます。
2016年に起きた熊本地震の前後の地震活動を調べたところ、この「効率」とb値を組み合わせて見ることで、本震(大地震)が始まる場所をうまく特定できました。
つまり、「b値」と「効率」の両方を使えば、地震の発生場所をより正確につかみ、災害の備えに役立てることができる可能性があります。
本研究成果は英国の雑誌「Scientific Reports」に2025年5月19日(月)に掲載されました。(https://doi.org/10.1038/s41598-025-01595-x)
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