大学院システム生命科学府 一貫制博士課程 4 年 (博士後期 2 年) の金津 瑛一郎さんが The 12th 3R + 3C International Symposium「Excellent Poster Award」を受賞しました。この賞は、2024 年 11 月 18 日から 22 日に福岡市で行われた国際学会 The 12th 3R + 3C International Symposium ~A special research meeting on DNA replication, repair, and recombination plus chromatin, chromosome and cell cycle~ において優秀なポスター発表を行った学生と若手研究者に与えられます。こちらの国際学会には 250 人以上の研究者が参加しました。
金津 瑛一郎 (大学院システム生命科学府 一貫制博士課程 4 年)
ミスマッチ修復に伴うヌクレオソームリモデリングの試験管内再構成
真核生物の染色体 DNA はヒストンに巻きつき、ヌクレオソームを基本単位とするクロマチン構造を取っている。DNA ミスマッチ修復 (mismatch repair; MMR) は、DNA 複製の誤りによって生じた塩基の誤対合 (ミスマッチ) を修復する仕組みであるが、クロマチン構造は MMR にとって阻害的である。所属研究室はこれまでに、ミスマッチ周辺のヌクレオソームが、ミスマッチセンサー MutSα 依存的な反応によって排除されること、さらにクロマチンリモデリング因子 Smarcad1 とヒストンシャペロン FACT がこの反応を促進することを発見・報告している。
本研究では、この反応の詳細な分子機構を明らかにするために、精製タンパク質を用いて、ヌクレオソーム排除の試験管内再構成に取り組んでいる。その結果、 MutSα と Smarcad1 の二者は協調して、ヌクレオソームをミスマッチから一方向的に遠ざけるということが示唆された。さらにツメガエル卵抽出液を用いた実験から、Smarcad1 はクロマチン基質上での MMR を促進すること、特にこの効果はミスマッチがヌクレオソーム間領域に存在するときに顕著であることを見出した。以上の結果から、Smarcad1 は MutSα と協調してヌクレオソームをミスマッチから遠ざけ、クロマチン上での MMR を促進する、というモデルが示唆された。