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川村 隆一 教授らの研究グループが、近年の黒潮続流の大蛇行に伴う海洋熱波が豪雨の発生をもたらしたことを解明しました。

  • 2025年2月26日(水)

    発表のポイント

    • 2022 年の秋ごろから本州のすぐ東の海上において黒潮続流が北へ大きく蛇行することで、海面水温が顕著に高い状態『海洋熱波』が発生しています。海面水温の上昇は海から大気への熱や水蒸気の供給を増加させることで降水へ影響することが考えられますが、黒潮続流の大蛇行に伴う海洋熱波のそのような影響についてはわかっていませんでした。
    • 本研究では、雲解像モデルを用いた数値実験を通じて、黒潮続流の大蛇行に伴う海洋熱波が 2023 年 9 月に千葉県で発生した記録的な豪雨の降水量の約 70 % に寄与したことを示しました。
    • さらに、数値実験のデータを詳細に分析することで、海洋熱波が、大気の暖湿化や千葉県沿岸付近における前線の形成や位置に作用することで、豪雨の発生に関与したことを明らかにしました。

    概要

     立正大学 データサイエンス学部・平田 英隆 准教授、九州大学 大学院理学研究院・川村 隆一 教授、海洋研究開発機構アプリケーションラボ・野中 正見 グループリーダーらの研究グループは、近年、日本の東方海上において黒潮続流の大蛇行に伴って生じている海面水温の異常高温『海洋熱波』が、2023 年 9 月 8 日に千葉県東部で発生した記録的な豪雨の発生に大きく寄与したことやそれに関わるメカニズムを明らかにしました。本研究成果は、2025 年 2 月 13 日に国際学術誌「Scientific Reports」に掲載されました (https://doi.org/10.1038/s41598-025-88294-9)。

     本研究の成果は、日本の東方海上における海洋熱波が豪雨の発生リスクを高めていることを示唆しています。また、日本周辺の海流とそれに伴う海水温の変動を適切に推定・予測することが、豪雨等の極端気象現象の予測や理解において極めて重要であることを意味します。

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