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宮田 潔志 准教授、恩田 健 教授、本田 瑛之さんらの研究グループが、量子応用に向けた超偏極電子スピン材料の設計指針を提案しました。

  • 2025年1月29日(水)

    ポイント

    • 色素–ラジカル連結分子を用いた電子スピンの光誘起スピン超偏極は量子技術への応用に向けて重要であるが、電子スピンの位置を制御しつつ効果的に偏極することが困難であった。
    • 色素から構成される金属錯体骨格 (MOF) にラジカル電子スピンを配置し、MOF の光捕集能を利用することで材料中の電子スピンが効果的に偏極されることを明らかにした。
    • MOF 中の配置が制御された超偏極電子スピンを用いることで、量子センシングなどの量子技術への応用が期待される。

    概要

     東京大学 大学院理学系研究科の濱地 智之 大学院生、井上 魅紅 大学院生、楊井 伸浩 教授らの研究グループは、九州大学 大学院理学研究院の宮田 潔志 准教授、恩田 健 教授、神戸大学 分子フォトサイエンス研究センターの婦木 正明 特命助手、小堀 康博 教授、京都大学 理学研究科の伊藤 琢磨 特任助教、倉重 佑輝 准教授らと共同して、光捕集アンテナとして機能する金属錯体骨格 (MOF) を用い、電子スピンを効果的に超偏極できることを明らかにしました (https://doi.org/10.1021/jacs.4c14916)。

     光励起によって電子スピンのスピン偏極率を向上させる光誘起スピン超偏極は、量子センシングや動的核偏極法 (Dynamic Nuclear Polarization;DNP) といった量子技術に重要です。本研究では色素で構成された MOF 骨格における励起子拡散を用いることで電子スピンを効果的に超偏極する「光捕集超偏極」 というコンセプトを初めて実証しました。今回の成果により、超偏極電子スピン材料を用いた複雑な量子計算、分析物の量子センシングや DNP といった量子技術への応用が期待されます。

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