Yale University 博士研究員の坂本 遼太さん (2021 年度 大学院理学府 物理学専攻 博士後期課程 修了) が「第 41 回 井上研究奨励賞」を受賞しました。この賞は、理学、医学、薬学、工学、農学等の分野で過去 3 年の間に博士の学位を取得した 37 歳未満の研究者で、優れた博士論文を提出した若手研究者に対し贈られるものです。財団設立の 1984 年度から公益財団法人 井上科学振興財団により贈られている賞で、賞状・メダル及び副賞 50 万円が贈呈されます。2024 年度は関係 299 大学に候補者の推薦を依頼、34 大学から 145 件の推薦があり、選考委員会における選考を経て 40 件が採択されました。
坂本 遼太 (研究当時:大学院理学府 物理学専攻 博士後期課程 複雑流体研究室、現:Yale University 博士研究員)
細胞サイズ空間に拘束された細胞骨格系が織りなす対称性の破れの非平衡物理学
対称性とその破れは,生命現象の根幹をなす重要な概念として知られています。細胞の対称性がどのような力学的メカニズムで制御されるのかを明らかにするため、坂本さんはシンプルな人工細胞モデルを用いた構成的アプローチに着目しました。一連の研究により細胞内の配置対称性や並進対称性がタンパク質複合体の力発生によって説明できることを明らかにし、細胞内構造体の配置制御と周囲環境を利用した細胞運動に関する物理的モデルの構築に成功しました。