我々の生活には多くの危険物質が多く存在し、特にほとんどの毒性ガスは目視では認識できないため、これらを効率良く選択的に捕捉し、さらに簡便かつ高感度に検出可能な技術開発は環境・健康問題の観点から重要な課題です。
東北大学 金属材料研究所の芳野 遼 助教と宮坂 等 教授の研究グループは、九州大学 大学院理学研究院の恩田 健 教授、名古屋大学 未来社会創造機構の土方 優 特任准教授、京都大学 高等研究院 物質—細胞統合システム拠点 (iCeMS) の北川 進 特別教授らとの共同研究により、工業製品や医薬品生産に必要でありながらも工場周辺の環境や生産現場での人体に対して危険性の高い二硫化炭素 (CS2) を高感度に検出可能な材料開発に成功しました。
本研究で合成した多孔性の金属–有機構造体 (Metal-Organic Framework:MOF) は身の回りに存在する水や二酸化炭素などは吸着せず、CS2 のみを選択的に吸着する「特異な分子ふるい」として機能します。さらに、CS2 の検出時間は 10 秒以下と高速な発光応答を示したため、発光を利用した高感度ケミカルセンサーへの展開が期待されます。
本研究成果は、2024 年 12 月 17 日付 (現地時間) でドイツ化学会誌 Angewandte Chemie International Edition にオンライン掲載されました (https://doi.org/10.1002/anie.202413830)。
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