大学院理学府 物理学専攻 修士課程 1 年の貞松 知里さんが日本物理学会「学生優秀発表賞」を受賞しました。この賞は、日本物理学会大会における若手の優秀な発表を奨励し、大会をより活性化するために設けられ、物理学会正会員のうちの大学院生または学生会員による学会発表を対象に授与されています。貞松さんは第 79 回年次大会 (2024年) の学会発表が評価され、この賞を受賞しました。
貞松 知里 (大学院理学府 物理学専攻 修士課程 1 年)
運動性の異なる自己駆動粒子混合系の集団運動
自律的に動き、相互作用しあう要素の集団は「アクティブマター」と呼ばれている。アクティブマターの例として、魚や鳥の群れが挙げられるが、バクテリアや藻類といった微小スケールの泳動体もまたアクティブマターに含まれ、特徴的な集団運動をすることが知られている。近年、非平衡物理学の分野では、このような集団運動の普遍的な性質を解明する研究が注目されている。より制御された環境下で普遍的な性質を見るために、生物ではなく自己駆動人工粒子を用いた実験が、これまでも盛んに行われてきた。しかし、これらの先行研究は、基本的に同じサイズ・速度の単一粒子の集団に限られており、異なる運動性を持つ粒子を混合した場合の集団運動の物理的メカニズムは十分に解明されていない。本研究では、運動性の異なる自己駆動粒子の混合系における集団運動の変化を観察し、異なる運動性の粒子の相分離構造を伴う特徴的な集団運動を発見した。