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松本 聡 教授らの研究グループが、超多点観測から見えてきた新たな地震活動の見方を提案しました。

  • 2024年6月21日(金)

    ポイント

    • 1000 点を超える地震観測で地震活動の特徴をみる
    • 地震の規模と断層の強さの関連性を発見
    • 地震活動の特徴をみる新たな尺度を調べることで、将来の活動評価につながる可能性

    概要

     地震の規模別頻度分布の特徴は、時空間的に変動することが知られています。これらの変動は、大地震の前に現れることが報告されています。時空間的な変動を理解することは、大地震発生のモデルを考えるうえでの鍵となります。これまでの研究で、地殻応力状態によって大きめのサイズの地震が多く引き起こされるという変化が示されています。さらに、室内実験では、応力や破壊条件の臨界性の両者に依存することが実証されています。しかし、自然地震活動でこの2つの要因がどのように関連するのかは不明でした。

     九州大学 大学院理学研究院の松本 聡 教授と、東京大学 地震研究所の加藤 愛太郎 教授らのグループは 2000 年鳥取県西部地震の震源周辺で 1000 点を超える地震観測を実施しました。この観測から得られるデータを詳しく解析して、断層の強さに焦点を当て、強い断層ほど大きな地震が発生しやすい傾向があることを見出しました。この影響で頻度分布が変化することを示しました。これは、従来にはない高精度のデータセットに基づいて、小規模地震を使って詳しく調べた結果、初めて得られたものです。このことは、大地震前の頻度分布変化が臨界状態に近づいていることに対応すると説明できます。この研究結果は今後の断層破壊モデル解明につながり、将来の災害軽減へ貢献すると期待できます。

     本研究成果は英国の雑誌「Nature Communications」に 2024 年 6 月 11 日 (火) (日本時間) に掲載されました (https://doi.org/10.1038/s41467-024-49422-7)。

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