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尾上 哲治 教授、堀 早紀子さんらの研究グループが、地球の歴史を調べるための新たな化石研究法を開発しました。

  • 2024年6月18日(火)

    ポイント

    • 岩石から放散虫化石を取り出すために使われてきたフッ化水素酸は毒物であり非常に危険
    • 4 % の水酸化ナトリウム溶液を用いて岩石から放散虫化石を抽出することに成功
    • 教育現場や資源・地質系業界でも放散虫化石の幅広い利用が可能に

    概要

     放散虫と呼ばれる大きさ 0.1〜0.5 ミリの海洋性動物プランクトンは、化石として残りやすく、地球と生命の歴史の理解に大きく貢献してきました。岩石から放散虫化石を抽出するために、従来はフッ化水素酸が利用されてきました。しかしこの酸は、環境や人体への影響が懸念されるため、法令により管理や使用が厳しく規制されています。九州大学 大学院理学研究院の尾上 哲治 教授の研究グループは、フッ化水素酸に代わる薬品として、低濃度 (4 %) の水酸化ナトリウム溶液を用いて、チャートと呼ばれる岩石から放散虫化石を取り出す手法を開発しました。この方法は、従来のフッ化水素酸による方法と比較して、より保存状態の良い放散虫化石を岩石中から取り出すことができます。4 % の水酸化ナトリウム溶液は、フッ化水素酸に比べて格段に取り扱いが容易であり、これまでフッ化水素酸を使用できなかった教育機関や、資源探鉱、地質調査業といった産業界においても、放散虫化石を教育と研究に利用することが可能になります。本研究成果は、2024 年 6 月 17 日 (月) 午後 6 時 (日本時間) 公開の Scientific Reports 誌にオンライン掲載されました (https://doi.org/10.1038/s41598-024-63755-9)。

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