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市川 准教授らの研究グループが、最先端宇宙観測技術を使って原子核の姿を捉えました。

  • 2024年2月13日(火)

    概要

     理化学研究所 (理研) 開拓研究本部 上野核分光研究室の郷 慎太郎 研究員、上野 秀樹 主任研究員、仁科加速器科学研究センター 宇宙放射線研究室の米田 浩基 基礎科学特別研究員 (研究当時)、東京大学 国際高等研究所 カブリ数物連携宇宙研究機構 (WPI-Kavli IPMU) の都築 豊 大学院生 (研究当時)、高橋忠幸教授、九州大学 大学院理学研究院の市川 雄一 准教授、東京都市大学 理工学部の西村 太樹 准教授らの共同研究グループは、宇宙観測技術をベースとした多層半導体コンプトンカメラを用い、原子核から放出される光 (ガンマ線) の偏光を捉え、原子核の内部構造を明らかにできることを示しました。

     本研究成果は、希少な不安定核における原子核の魔法数の消失過程など、宇宙の成立や物質の性質の理解の基礎的知見を深めることに寄与すると期待されます。

     本研究では、原子核の内部構造を調べるため、多層半導体コンプトンカメラの光に対する高い位置決定精度と検出効率に着目しました。宇宙観測分野では、宇宙空間の全方向から飛来する光を調べます。一方、加速器を用いた地上での原子核の分光実験では、放出されるガンマ線の放射位置と強度を人工的に制御することが可能です。ガンマ線の入射方向を決めた上でその散乱事象を詳細に分析できることから、高感度な偏光測定が実現できると考えました。

     そこで、原子核実験と宇宙観測の研究者がタッグを組み、本装置を活用した 56Fe 原子核の励起状態から放出されるガンマ線の偏光測定を実施しました。その結果、偏光の測定を実証したばかりでなく、その測定の感度は非常に高く、高い検出効率を兼ね備えた革新的な手法であることが分かりました。

     本研究は、科学雑誌『Scientific Reports』オンライン版 (2月9日付:日本時間2月9日) に掲載されました (https://doi.org/10.1038/s41598-024-52692-2)。

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