理化学研究所 (理研) 仁科加速器科学研究センター 核反応研究部の上坂 友洋 部長、多種粒子測定装置開発チームの大津 秀暁 チームリーダー、中国科学院 近代物理研究所のペンジー・リー研究員、パリ・サクレー大学 イレーヌ・ジョリオ・キュリー研究所のディディエ・ボーメル上級研究員、香港大学のジェニー・リー教授、京都大学 理学部の銭廣 十三 准教授、金田 佳子 准教授、九州大学 大学院理学研究院の緒方 一介 教授らの国際共同研究グループは、理研の重イオン加速器施設「RI ビームファクトリー (RIBF)」の多種粒子測定装置「SAMURAI スペクトロメータ」を用いて、不安定なベリリウム-10 (10Be、原子番号 4) 原子核の基底状態では、アルファ粒子二つと中性子二つが窒素分子のように結合していることを発見しました。
本研究成果は、元素合成過程の理解に大きな影響を与える、原子核内でのアルファ粒子生成機構解明に貢献すると期待されます。
今回、国際共同研究グループは、RIBF で生成された10Be 原子核ビームに対し、ノックアウト反応という手法を用いてアルファ粒子を取り出すと同時に、取り出した後に残る原子核を SAMURAI スペクトロメータによって同定しました。この結果を最先端の核構造理論および核反応理論と比較することで、10Be 原子核が、二つのアルファ粒子と分子軌道を占有する中性子から成る分子構造を持つことを明らかにしました
本研究は、科学雑誌『Physical Review Letters』オンライン版 (11 月 21 日付) に掲載されました (https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.131.212501)。
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