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森川 億人さんが第 18 回 (2024 年) 日本物理学会「若手奨励賞」を受賞しました。

  • 2023年10月30日(月)

 大阪大学 大学院理学研究科の森川 億人さん (大学院理学府 物理学専攻 博士後期課程 修了) が第 18 回 (2024 年) 日本物理学会「若手奨励賞」を受賞しました。この賞は、将来の物理学を担う優秀な若手研究者の研究を奨励し、日本物理学会をより活性化するために本賞を設けるという日本物理学会若手奨励賞実施要綱に則り、若手研究者による優れた素粒子論の研究を評価し、奨励することを目的としています。

受賞者

森川 億人 (現 大阪大学 大学院理学研究科 日本学術振興会 特別研究員、九州大学 大学院理学府 物理学専攻 博士後期課程 修了)

研究テーマ

格子場の理論における generalized symmetry の研究

研究概要

 Generalized symmetry は通常の対称性を拡張したものであり、近年盛んに研究され、場の理論における大きな進展を生み出している。これに関連する議論は、(連続) 場の理論で行われることが多いが、連続極限をとる前の格子場の理論で議論を行うことで議論のあいまいさがなくなる等の利点がある。森川氏は、4 次元 (compact) U(1) ゲージ理論に存在する U(1) 1-form symmetry の ℤq 部分群に対応する背景場を入れた理論を格子場上で構成し、topological charge や、時間反転対称性との混合 't Hooft anomaly を考察した。また、さらに他の場を加えることで ℤp 3-form symmetry がある理論を構成している。この時、ℤq 1-form symmetry と ℤp 3-form symmetry は高次群の構造を持つことを確かめている。とくに、森川氏の論文では admissibility を課す Luescher の構成法に基づいて、ゲージ場のトポロジーを議論できるのが特徴であり generalized symmetry の議論で将来有用になると考えられる。このことから、この仕事で中心的な役割を果たした森川氏は若手奨励賞にふさわしいと判断した。

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