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前多 准教授、福山 達也さん、厳 路燦さんらの研究グループが、細胞分裂装置の作り方の規則性を解明しました。

  • 2022年10月26日(水)

概要

 我々ヒトを含む真核生物は、紡錘体と呼ばれるミクロンサイズの力発生装置を細胞内に構築して、遺伝情報の実体である DNA を母細胞から娘細胞へ受け渡します。遺伝情報の正確な受け渡しには紡錘体をラグビーボール状の整ったかたちに作り上げることが大切です。一方で、紡錘体のかたちが崩れると染色体の断片化や異数化の引き金となって娘細胞に異常を引き起こします。

 本研究では、この紡錘体のかたち作りの成功と失敗を分けるしくみを明らかにしました。特に、整ったかたちの紡錘体を作るための正しい組み立て順序を明らかにすることに加えて、かたちの崩れた紡錘体は、その組み立て順序を無作為に間違ったせいでなく、ある決まったルールで失敗していることも明らかにしました。また、この成功と失敗を分ける鍵が、紡錘体が自らの形状を記憶するメモリーフォームのような性質にあることも分かりました。

 紡錘体のかたちの崩れはガンや不妊症との密接な関連が示唆されています。本研究で得られた知見はそれら疾病の発症メカニズムの理解を進める重要な一歩になります。

 本研究成果は、九州⼤学 大学院理学研究院の前多 裕介 准教授、研究当時 大学院理学府・理学研究院の福山 達也さん、研究当時 理学部の厳 路燦さんを含む、国内 2 拠点 (国立遺伝学研究所、九州大学) の生物物理学研究チームと国外 2 拠点 (香港大学、台湾中央研究院) の生化学研究チームの国際共同研究によって得られたものです。

 本研究成果は、米国科学雑誌「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America (PNAS)」に 2022 年 10 月 24 日 (日本時間) の週に掲載されます。(https://doi.org/10.1073/pnas.2209053119)

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