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庭瀬 暁隆さんが RIBF Users Group Thesis Awards for 2022 を受賞しました。

  • 2022年9月14日(水)

 高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所 和光原子核科学センター 博士研究員の庭瀬 暁隆さん (大学院理学府 物理学専攻 博士後期課程 修了) が RIBF Users Group Thesis Awards for 2022 を受賞しました。この賞は理化学研究所 仁科加速器科学研究センター RI ビームファクトリー (RIBF) 施設にて実施した実験、あるいは関連する理論研究について博士号を取得した人で特に大きな成果をあげた若手研究者に授与される賞です。

受賞者

庭瀬 暁隆 (現所属:高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所 和光原子核科学センター 博士研究員)

研究テーマ

First direct mass measurement of superheavy nuclide via MRTOF mass spectrograph equipped with an α-TOF detector

研究概要

 本研究グループではこれまでに、多重反射型飛行時間測定式質量分光器 (MRTOF-MS) と気体充填型反跳分離装置 (GARIS-II) を用いた SHE-Mass facility において、101 番元素 Md をはじめとする超アクチノイド元素の質量測定を行ってきた。
 受賞対象となった本研究では、世界初となる超重核の直接質量測定を目指して新検出器 α-TOF の開発を行い、105 番元素 Db の質量測定実験を遂行した。α-TOF は従来の飛行時間検出器に Si 検出器を組み込むことにより、重イオンの飛行時間信号の取得とそれに続いた α 崩壊事象の相関取得を可能とした検出器である。この開発により、1 日に数イベント以下の極めて稀な事象においても、崩壊事象を核の足跡とすることで確度の高い精密質量測定が実現できる。実験の結果、4.5 日のビーム照射で総計 11 事象の 257Db の飛行時間と α 崩壊の相関事象を観測し、その質量を 1 ppm の精度で決定した。α-TOF 検出器の開発によって精密質量と α 崩壊特性の相関計測という新たな測定手法を開拓し、世界初となる超重元素同位体の直接質量測定に成功した。

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