水蒸気噴火はマグマが直接関与せず、熱水により引き起こされる火山噴火ですが、その規模は小さく、火山浅部の熱水により生じる現象なため、発生予測は一般に難しいと考えられてきました。一方、小規模な水蒸気噴火でも、火口周辺に多くの登山者がいれば、2014 年の御嶽山噴火災害のように多くの人命が失われるため、水蒸気噴火予測は社会的に非常に重要な課題です。
九州大学 大学院理学研究院附属 地震火山観測研究センターの相澤 広記 准教授、松島 健 教授、および東京大学 地震研究所の村松 弾 特任研究員、小山 崇夫 助教、上嶋 誠 教授、鹿児島大学の中尾 茂 教授らの研究グループは、2018 年 4 月 19 日に小規模な水蒸気噴火を起こした霧島硫黄山の地盤変動データ、地震データ、地電流データの解析を行い、水蒸気噴火は地下からの熱水上昇に対して地表付近の地下水が特異な動きをしたときのみ発生することを世界で初めて明らかにしました。
今回の発見では、熱水上昇はあるものの地下水の影響で噴火に至らなかった「噴火未遂」イベントが数多く存在することも明らかになり火山監視体制について再考が求められます。また本研究での観測手法、解析手法は、水蒸気噴火発生の数分前の直前予測に役立つことが期待されます。
本研究成果は英国の雑誌「Communications Earth and Environment」に 2022 年 8 月 22 日 (月) に掲載されました。 (https://doi.org/10.1038/s43247-022-00515-5)
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