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前多 准教授と福山 達也さんらの研究グループが、プログラムされた分子によってナノ模様を自発的に形成させることに成功しました。

  • 2022年1月7日(金)

ポイント

  • タンパク質が自発的に動いて相手を選びながら模様をつくる
  • タンパク質の部品を変えるだけで模様の種類を制御できる
  • タンパク質を魚の群れのように操る分子ロボットの作成技術につながる

概要

 東京工業大学 生命理工学院 生命理工学系の菊池 幸祐 大学院生と上野 隆史 教授、古田 忠臣 助教のグループは、九州大学 大学院理学研究院の前多 裕介 准教授、福山 達也 研究員 (当時)、名古屋大学 / 自然科学研究機構生命創成探究センターの内橋 貴之 教授の研究グループと共同で、タンパク質の部品を組み換えることで目的のナノ模様をつくりだすことに成功した。

 タンパク質集合体は、持続可能なナノマテリアルや生体内ではたらく分子ロボットの素材として注目されているが、望みの模様をつくりだすことは困難とされていた。本研究では棒状の構造を有するタンパク質に着目し、その両末端を改造することで分子をプログラムし、三角形格子や横並び状態、ファイバー構造などの二次元ナノ模様の作り分けに成功した。

 今回の二次元ナノ模様は、タンパク質の群れが動きまわりながら相手を見つけ、連結していくことによって形成される。したがって、これまで分子レベルでは実現されてこなかった、イワシやムクドリの群れのようなアクティブマターとしてのタンパク質の利用が見込める。さらに、タンパク質が模様の欠陥をみずから修復して整列していく様子も確認されており、生体適合性の自己回復フィルムやタンパク質由来のウェアラブルデバイスをはじめとする、次世代スマート材料としてさらなる応用が期待される。

 本成果は、新学術領域「発動分子科学」と文部科学省科研費の支援によるもので、ナノマテリアル分野において最も権威のある学術誌のひとつである「スモール(Small、Wiley-VCH 誌)」のオンライン版で 1 月 6 日に公開されました。

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