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杉山 晃一さんが日本放射化学会 第 65 回討論会「若手優秀発表賞」を受賞しました。

  • 2021年10月22日(金)

 大学院理学府 物理学専攻 修士課程 1 年の杉山 晃一さんが日本放射化学会 第 65 回討論会 (2021)「若手優秀発表賞」を受賞しました。この賞は、毎年行われる日本放射化学会の討論会で特に優秀な発表をした学生会員と 35 歳未満の若手会員に贈呈されます。表彰講演は、討論会各セッションの座長、討論会実行委員や学会理事等から構成される審査委員会による審査で決定されます。

受賞者

杉山 晃一 (大学院理学府 物理学専攻 修士課程 1 年)

研究テーマ

アクチノイド核を標的としたアイソマー核分光

研究概要

 原子核の超重元素領域には人類未到の「安定の島」の存在が予言されている。安定の島の原子核は通常の超重核と比べ非常に長い半減期を持つと予想されているが、核反応によって合成する手法は現時点で見出されておらず、その性質は明らかになっていない。そこで、安定の島の原子核を直接合成することなく、より軽い原子核を調べることでその性質に迫ることを目的とした研究を行った。安定の島の原子核より15%ほど軽いアクチノイド核の励起状態から安定の島の核の安定性を特徴づける殻ギャップエネルギーを求める鍵となる情報を得られる可能性があるため、本研究では原子力機構にて 248Cm を標的とした核分光実験を行った。実験にあたってはアイソマースコープ法と呼ばれる核分光手法を初めてアクチノイド標的に対して適用した。バックグラウンド事象を低減するため、ビーム後方角度で反跳核の粒子識別を行い、既知のアイソマー状態 (半減期の長い励起状態) の観測に成功した。本実験による原理検証により、アクチノイド核のアイソマーに対する精密核分光手法を確立した。

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