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藤木 幸夫 名誉教授が 2021 年度「武田医学賞」を受賞しました。

  • 2021年10月5日(火)

 藤木 幸夫 名誉教授が 2021 年度「武田医学賞」を受賞しました。「武田医学賞」は、医学界で顕著な業績を挙げ、医学ならびに医療に優れた貢献を果たされた研究者に贈呈されるものです。1954 年に武田薬品工業株式会社の創業 170 周年記念事業の一つとして設けられ、1963 年の当財団設立とともに財団事業として継承し、本年度で 65 回目を迎えます。「武田医学賞」の受賞者数は、本年度を含めて 134 名となります。

受賞者

藤木 幸夫 (生物科学部門 名誉教授)

研究テーマ

ペルオキシソームの形成と欠損症研究によるオルガネラ病概念の確立

研究概要

 ペルオキシソームは脂質代謝や過酸化水素の生成・消去系など様々な生物学的に必須な代謝機能を担う細胞小器官 (オルガネラ) である。藤木 名誉教授は、ペルオキシソーム形成が異常な 10 数種の細胞株を樹立し、それらを用いて、ペルオキシソームの形成に必須な数多くの因子 (ペルオキシン) を発見、ついで重篤かつ原因不明であったペルオキシソーム欠損症の病因遺伝子を網羅的に解明することに成功した。さらには、モデルマウスを用いてペルオキシソーム欠損症の病態発症機構も解明した。最近では、ペルオキシソーム酵素である過酸化水素分解酵素、カタラーゼが酸化ストレス下には細胞質へ集積して細胞死を抑制する機構、すなわちカタラーゼのオルガネラとサイトゾルの両局在を基軸とした極めて重要な生理作用調節の存在を発見した。これら一連の研究成果はペルオキシソーム欠損症を遺伝子、分子および個体レベルで解明するとともに、ペルオキシソームに新しい視点を与える独創性が非常に高く、オルガネラ恒常性 (オルガネラスタシス) とその破綻によるオルガネラ病という新しい概念を創生し、大きな波及効果を生み出した。このように、藤木 名誉教授の業績は世界に誇るオンリーワン研究であり、この分野の開拓者として国際的な評価は極めて高い。

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