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佐竹 教授らの研究グループが植物が幹細胞を永続的に維持できる新しいしくみを解明しました。

  • 2021年6月2日(水)

 神戸大学 大学院理学研究科の古谷 朋之 学術研究員、近藤 侑貴 准教授らと、九州大学の佐竹 暁子 教授、東京大学 大学院農学生命科学研究科の田之倉 優 特任教授、宮川 拓也 特任准教授らと同附属生態調和農学機構の矢守 航 准教授らの共同研究グループは、葉の細胞から維管束細胞を作り出す培養系 “VISUAL” を基盤とした情報生物学的解析から維管束の発生過程に特徴的な遺伝子発現ネットワークの構築に成功し、その中から維管束幹細胞の制御に関わる因子として BES/BZR 転写因子・BEH3 を新たに見出しました。さらに BEH3 が同じ BES/BZR 転写因子ファミリーの他のメンバーと競合的にはたらくことで幹細胞の増殖と分化の制御を安定化させるという新たな幹細胞維持のしくみを明らかにしました。

 今後さらに幹細胞制御因子を見つけていくことで、植物の幹細胞が長きにわたって維持される分子基盤の理解につながることが期待されます。

 この研究成果は、6 月 1 日に、米国の植物科学専門誌「The Plant Cell」に掲載されました。

発表のポイント

  • 多数の大規模遺伝子発現データから維管束幹細胞に特徴的な 394 遺伝子を抽出し、その中から新規の幹細胞制御因子として BES/BZR 転写因子ファミリーに属する BEH3 を発見しました。
  • BEH3 は他の BES/BZR 転写因子とは異なりほとんど活性を持たず、他の BES/BZR 転写因子の働きを競合的に阻害することが分かりました。
  • この BES/BZR 転写因子内の競合的な関係が維管束幹細胞の増殖と分化のバランスの制御に貢献していることが示され、維管束幹細胞維持の新たな制御機構を明らかにしました。

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