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山崎 助教らの研究グループが地球温暖化によってアラビア海の湧昇流が弱まっていることを発見しました。

  • 2021年5月27日(木)

発表のポイント

  • 現生・化石サンゴの骨格から、アラビア海の 1,000 年前〜現在の海水温・塩分変動を復元。
  • 近年のアラビア海の湧昇流は過去 1,000 年前と比べて弱まっている。
  • この湧昇流の弱化は、近年のインド洋の急激な温暖化とインド亜大陸の緩やかな温暖化に起因。

発表概要

 北海道大学 大学院理学研究院及び喜界島サンゴ礁科学研究所、総合地球環境学研究所の渡邊 剛 講師、九州大学 大学院理学研究院及び喜界島サンゴ礁科学研究所の山崎 敦子 助教、北海道大学 大学院理学院博士後期課程の渡邉 貴昭ら (執筆当時) の研究グループは、過去 1,000 年間と比べて現在のアラビア海の湧昇流が弱まっていることを発見しました。

 インド洋の夏季モンスーンによって発生するアラビア海の湧昇流は、深層の海水を海洋表層へ輸送しています。このときに輸送される海洋深層の低海水温及び富栄養な海水は、海洋表層の生態系や周辺の気候に大きな影響を与えます。

 渡邊講師らの研究グループはアラビア海産の造礁性サンゴの酸素安定同位体比や Sr/Ca 比 (ストロンチウム/カルシウム比) を分析し、1,000 年前から現在までの海水温・塩分変動を復元しました。その結果、近年の湧昇流は過去 1,000 年間と比べて弱くなっていることを解明しました。

 このアラビア海の湧昇流の弱化傾向は、インド洋周辺の気候や漁業に影響をもたらすことが予想されます。

 なお、本研究成果は、2021 年 5 月 24 日 (月) 公開の Geophysical Research Letters 誌に掲載されました。

※ 本件についての詳細およびお問い合わせ先は以下をご覧ください。

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