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酒見 はる香さん、大村 匠さん、町田 真美 准教授(国立天文台)らの研究グループが直角に折れ曲がるジェットが描き出す銀河団の磁場構造を明らかにしました。

  • 2021年5月6日(木)

 国立天文台、ノースウェスト大学 (南アフリカ)、東京大学宇宙線研究所、オランダ宇宙研究所、鹿児島大学、名古屋大学、九州大学【国立天文台の酒見 はる香 研究員(日本学術振興会 特別研究員 PD、論文採択時は九州大学 大学院理学府 物理学専攻 大学院生)、東京大学 宇宙線研究所の大村 匠 研究員(論文採択時は九州大学 大学院理学府 物理学専攻 大学院生、日本学術振興会 特別研究員)、国立天文台の町田 真美 准教授 (元 九州大学 大学院理学研究院 物理学部門 助教)】、南アフリカ電波天文台、SKA 機構などからなる国際研究チームは、はと座の方向 6.4 億光年の距離にある銀河団 Abell 3376 を、南アフリカ電波天文台が運用する電波干渉計「ミーアキャット」を使って観測しました。この銀河団は、大小ふたつの銀河団が合体している現場で、この観測から銀河団の中心に位置する銀河から噴射されるジェットが、小さい銀河団の境界面で二手に折れ曲り、細くたなびくようすが初めて捉えられました。

 この構造を作るメカニズムを解明するため、国立天文台の天文学専用スーパーコンピュータ「アテルイ II」を用いたシミュレーションを実施しました。その結果、銀河団を包み込む磁場にジェットがぶつかることで二手に折れ曲り、折れ曲がった先から磁場に沿って細く伸びる構造を再現することに成功しました。

 本研究によって、銀河から吹き出すジェットと銀河団磁場の相互作用の現場が初めて捉えられました。ジェットの構造を詳細に調べることで、直接観測することが難しい磁場の構造を明らかにするという新しい手法が得られたことになります。

 この研究成果は Chibueze, Sakemi, Ohmura et al. “Jets from MRC 0600-399 bent by magnetic fields in the cluster Abell 3376” として、英国の科学雑誌『ネイチャー』に 2021 年 5 月 6 日掲載されました。

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