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野下 助教らの研究グループがリンゴの品種改良に貢献した起源品種の遺伝領域を明らかにしました。

  • 2021年3月2日(火)

ポイント

  • 国内のリンゴ品種群において、主な起源品種のハプロタイプの遺伝を自動的に追跡する方法を開発しました。
  • ゲノムワイド関連解析 (GWAS) では、果皮の着色が良いリンゴの育成に利用されてきた可能性がある起源品種のハプロタイプを明らかにしました。
  • ゲノミックセレクション (GS) 予測モデルの評価では、果実のリンゴ酸含量などを高い精度で予測ができ、品種改良の効率化が期待されます。

概要

 国内のリンゴ品種は主に 7 つの起源品種に由来しているため、14 種類のハプロタイプが存在すると考えられます。これらのハプロタイプの遺伝を正しく追跡することができれば、国内品種が持つ性質の多様性を、より正確に理解することができる可能性があります。

 東京大学、農研機構および九州大学 大学院理学研究院 生物科学部門 野下 浩司 助教の研究グループは、これら 14 種類のハプロタイプの遺伝を自動的に追跡する手法を開発しました。この手法を用いることで、研究に供試した全リンゴ個体の 92% のゲノム領域を、 14 種類のハプロタイプ情報で表すことができました。このハプロタイプ情報を利用したゲノムワイド関連解析 (GWAS) では、果皮の着色が良いリンゴの育成に利用されてきた可能性がある起源品種のハプロタイプを明らかにしました。さらに、ゲノミックセレクション (GS) 予測モデルの評価では、果実のリンゴ酸含量などを高い精度で予測しました。

 起源品種のハプロタイプ情報は、個体の系譜情報と組み合わせて遺伝を可視化することで、リンゴの品種改良の歴史を紐解くことができます。今回新しく見いだした有望な起源品種のハプロタイプは、今後の新品種開発への利用も期待されます。

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