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清川 准教授らの研究グループが薩摩硫黄島における鉄チムニーマウンドを発見しました。

  • 2021年1月13日(水)

 鹿児島県薩摩硫黄島の長浜湾では、湾内から鉄に富む温泉が流出しており赤茶けた様相を呈しています。この赤い海の底について、長期にわたる研究により今まで知られていなかった海底の世界が明らかになりました。

 薩摩硫黄島長浜湾の水深は 3−7 m ですが、水酸化鉄でオレンジ色に染まる海底は、昼間でも太陽光線がほとんど入らない薄暗い世界であり、大型生物がほとんど見られません。九州大学 大学院理学研究院の清川 昌一 准教授らの研究グループは、この急速に貯まった水酸化鉄層を伴う海底において、熱水湧水に伴う水酸化鉄チムニーマウンドを世界で初めて発見しました。この鉄マウンドは、湾形成後 30 年ぐらいで形成したと考え、CT スキャン観察や顕微鏡観察、DNA 測定により、鉄酸化細菌の活動で形成したものであることを明らかにしました。

 水深数 m での鉄沈殿層の堆積と水酸化鉄チムニーマウンドの発見は、まさに現代版の鉄鉱層形成場です。地球上で使われている鉄鉱石は、約 23−25 億年前の地球表層が酸素大気に変わっていく頃に縞状鉄鉱層として作られています。その成因は、未だ多くの議論があり決着されていません。本地域の研究は、具体的な水酸化鉄がどのように海底で形成し、地中に保存されていくかのモダンアナロジーであり、初期地球の地球海洋環境を考える上で重要な指針を与えてくれるとともに、将来の鉄資源のあり方を考えさせてくれます。

 本研究の成果は、2021 年 1 月 11 日に「Geological Society of America Bulletin」にオンライン掲載されました。

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