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川畑 教授らの研究グループが後生動物細胞からの内生グアノシン 4 リン酸 (ppGpp) の検出に成功しました。

  • 2020年11月16日(月)

要点

  • グアノシン 4 リン酸 (ppGpp) は、細菌の栄養飢餓応答時のシグナル物質として発見されたが、動物細胞では半世紀にわたり未確認だった。
  • ショウジョウバエやヒト細胞からの ppGpp 検出に世界で初めて成功し、その量が発生段階に応じて変化することを明らかにした。
  • 動物細胞内にも ppGpp 代謝系が存在し、発生の調節や環境適応に用いられていると考えられる。

概要

 東京工業大学 生命理工学院 生命理工学系の伊藤 道俊 大学院生 (研究当時) と増田 真二 准教授らの研究グループは、山形大学の及川 彰 教授、九州大学の川畑 俊一郎 教授、東京都立大学の朝野 維起 助教らのグループと共同で、細菌のセカンドメッセンジャーとして知られるグアノシン 4 リン酸 (ppGpp) を、後生動物の細胞から検出することに世界で初めて成功しました。

 細菌は、外部環境変化に応じて ppGpp を合成することで代謝を最適化し、栄養飢餓応答や抗生物質耐性などを向上させています。本研究では、後生動物では世界で初めて、ショウジョウバエでの ppGpp の検出に成功しました。さらに ppGpp 分解酵素を欠損したショウジョウバエは野生型の約 7 倍の ppGpp を蓄積していることを明らかにしました。ショウジョウバエ中の ppGpp 量が発生段階に応じて大きく増減することから、動物細胞内には ppGpp 代謝系が存在しており、発生の調節や環境適応に用いられていると考えられます。

 今回の発見によって、ppGpp が動物細胞にも存在することが確認されたことで、今後は、その機能に関する研究の進展が期待されます。研究成果は 11 月 13 日 (イギリス時間) 発行の「Communications Biology (コミュニケーションズ・ バイオロジー)」に掲載されました。

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