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川畑主幹教授、山下助教、柴田助教、高橋 俊成さんらの研究グループが3種の組換えタンパク質を用いた連鎖反応による高感度のリポ多糖検出法を開発しました。

  • 2020年6月11日(木)

 大腸菌などの菌体成分のリポ多糖 (LPS) は、私たちの体内に侵入すると発熱や致死性のショック症状を引き起こす危険な生物毒です。一方、カブトガニの血球に含まれる 3 種のタンパク質分解酵素前駆体 (ProC、ProB、ProCE) は、LPS に反応して連鎖反応 (凝固カスケード) により血液を凝固させて感染を防御します。半世紀以上にわたり、カブトガニの血球抽出液は LPS の検出試薬 として全世界で使われています。今回、九州大学 大学院理学研究院の山下 啓介助教、柴田 俊生助教、大学院システム生命科学府修士課程の高橋 俊成院生 (現: Meiji Seika ファルマ)、川畑 俊一郎主幹教授らの研究グループと生化学工業 (株) の小林 雄毅研究員との共同研究により、哺乳類細胞で調製した 3 種の組換え体を用いて凝固カスケードを解析し、天然のものと比較して遜色なく機能することが示されました。また、これらの組換えタンパク質分子を構成する機能領域 (ドメイン) が詳細に解析され、凝固カスケードにおけるクリップドメイン (当研究室が 1990 年に ProCE 分子の中に見出したドメインで、紙を止めるクリップに形が似ているので命名された。昆虫類の免疫を担うタンパク質でも見つかっている。) の機能が初めて明らかになりました。今回の研究成果は、絶滅に瀕するカブトガニの血球に頼ることなく、組換えタンパク質を応用した LPS 検出試薬の製品化に寄与することが期待されます。

 本研究成果は、米国の国際学術誌「The Journal of Biological Chemistry」のオンライン速報版で 2020 年 5 月 14 日 (木) (https://doi.org/10.1074/jbc.RA119.012452) に掲載されました。近日中に確定版が掲載される予定です。

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